- 平成30年度における審査請求は3,104件(対前年比+5.1%)で、6年ぶりに3,000件を超える。
- 再調査の請求は2,043件で、直接審査請求の件数(1,958件)を上回る。
- 訴訟の発生件数、国側敗訴件数のいずれも減少し、平成に入ってから最も低い数値に。
国税庁は6月20日、平成30年度(平成30年4月1日~平成31年3月31日)における、再調査の請求・審査請求・訴訟の概要を公表した。
審査請求の概要によると、審査請求の件数は3,104件で、前年度(2,953件)より5.1%増加したことが分かった。3,000件を超えたのは平成24年(3,598件)以来6年ぶり。申告所得税等及び法人税等の税目並びに徴収関係に係る件数が増加したことが今回の結果となった理由であるとしている。また、審査請求の処理件数は2,923件で、前年度(2,475件)より18.1%の増加となった。そのうち納税者の主張を受け入れた件数は216件(一部認容139件、全部認容77件)で、その割合は7.4%と認容割合は平成に入ってから最少となった。税目別の認容件数で最も多いのは申告所得税等の64件で、最も少なかったのは徴収関係の3件であった。
再調査の請求(改正前の異議申立て)を経ずに直接審査請求を行ったのは1,958件で、前年度(2,020件)より減少した一方、再調査の請求の件数は2,043件と前年度(1,814件)より増加した。平成30年度における再調査の請求の割合は51.1%と、今年度は直接審査請求よりも再調査の請求を選択する人が多かった。再調査の請求の件数においては、前年度より12.6%増加している。国税庁は所得税と源泉所得税等において大型の事案があったことが、発生件数が増加した理由としている。また、再調査の請求の処理件数は2,150件(前年度1,726件)。このうち認容件数は264件(一部認容237件、全部認容27件)で、その割合は12.3%(一部認容11.0%、全部認容1.3%)となっている。
訴訟の発生件数は181件(対前年度比▲9.0%)と7年連続で減少。このうち新規(第一審)の発生件数は111件(前年度108件)で、ここ5年間は横ばいないし微増傾向にある。国が敗訴した件数は6件(一部敗訴3件、全部敗訴3件)で、その割合は3.4%だった。訴訟の発生件数、敗訴件数、敗訴割合のいずれも平成に入ってから最も低い数値となっている。なお、敗訴件数の税目は所得税が5件、法人税が1件であった。