• 変圧器の据付き作業において、旧変圧器の搬出が対価を得て行われる役務の提供か否かが争われた事案。
  • 審判所は、不用品の無償引取りに基づき履行したものと認められるため、本件支払対価の額に旧変圧器の搬出費用は含まれないと判断。原処分の全部を取消し。

今回の事案は、請求人が変圧器の取得等に係る対価の額を、課税仕入れに係る支払対価の額に含めて消費税等の確定申告をしたところ、原処分庁が当該契約における既設の変圧器の搬出が課税期間終了の日までに完了していないことから、当該対価の額は課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含めることができないとして消費税等の更正処分等を行ったため、請求人が原処分の全部の取消しを求めたものである。請求人は、契約では「新変圧器の購入」及び「据付け、運搬、旧変圧器の取外し」と「発生品(旧変圧器ほかの不用品)の無償譲渡」に係る契約は明確に区分されるため、別の契約として資産の譲渡等の日がいつであるかを判断すべきなどと主張していた。

国税不服審判所は、無償で行われる役務の提供は資産の譲渡等及び課税資産の譲渡等に該当せず、消費税法上の課税仕入れに当たらないとした上で、本契約は対価を得て行われる請負契約等と、無償で行われる不用品等の引き取りからなるものであり、旧変圧器の搬出が契約上、対価を得て行われる役務の提供か、無償で行われる役務の提供かによって消費税法上の課税仕入れに該当するか否かが異なるとした。

審判所が調査したところでは、契約書等においては取り外された旧変圧器が発生品等に当たるか否かについての明確な記載はないが、新変圧器との交換作業により取り外された旧変圧器は受注者によって解体され、金属くずとして廃棄処分されていることからすると、作業に伴い生じる不用品に該当し、旧変圧器の搬出は受注者が契約における不用品の無償引取りに基づき履行したものと認められるから、本件支払対価の額に旧変圧器の搬出費用は含まれないと指摘。また、契約によれば、納入した新機器の検査合格により、新機器の所有権は受注者から請求人へと移転し、引渡しが完了することから、本件において課税仕入れを行った日とは検査に合格した日であるとした。したがって、本課税期間内に、検査合格し請求人は受注者から課税資産等を譲り受け、受注者が対価を得て行った役務の提供の全てを受けたものと認められるのであるから、本件支払対価の額は本課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含まれると判断。原処分の全部を取り消した。