- 審判所、請求人(特定同族会社)と請求人の取引業者によって行われた新年会等の損益の帰属先を巡る事案で取消裁決。
- 新年会等の損益は、請求人と取引業者が組織した親睦団体に帰属と判断。
本事案は、請求人と請求人の取引業者が一堂に会して開催された新年会等および祝賀会の損益が、請求人と親睦団体のどちらに帰属するかが争われたもの。新年会等の内容は、講演会および懇親会であり、開催案内、参加会費の領収証はすべて請求人名で発行されていた。また、開催案内には、開催日時、場所、一人当たりの参加会費が記載され、受付は、請求人の従業員が行っていた。他方、祝賀会の案内文書(招待状)には、開催日時、場所は記載されているが、一人当たりの参加会費の記載はなかった。
原処分庁は、新年会等の開催案内・参加会費の領収証、祝賀会の招待状・お礼状が請求人名義であることなどから、請求人の業務と関連して開催されたものであると主張。新年会等および祝賀会の損益は、請求人に帰属するとした。
審判所は、新年会等について、開催案内、領収証は請求人名義であり、受付を請求人の従業員が行っていたことが確認されるが、新年会等の具体的な内容は講演会・懇親会であり、それらは親睦団体の会則に掲げられる目的・事業内容に沿った行事でもあると指摘。これらの事実だけでは、新年会等の主催が請求人か親睦団体かは明らかではないとした。そのうえで、新年会等および祝賀会に係る親睦団体口座の入出金の差額は親睦団体預金に預け入れられ、親睦団体の年会費とともに管理され、収支決算報告書が親睦団体預金に基づき作成されていることから、新年会等の損益が請求人に帰属するとは認められないと判断した。
一方、祝賀会については、請求人名義で送付された招待状・お礼状の文面に親睦団体に関する記載はなく、式次第の内容からも親睦団体の役員挨拶がなく、親睦団体に関する記載もないことから、祝賀会の主催者は請求人であると認定。
さらに、祝賀会の祝金については、①招待客によりばらつきがあること、②招待状に祝賀会の参加会費の記載がないことから、招待客が任意に持参したものと判断。祝金はお祝いをする者からお祝いをされる者に贈呈されるものであるから請求人が受領すべきものであり、祝賀会に伴う支出も祝賀会を主催した請求人が負担するのが相当であることから、祝賀会の損益は請求人に帰属するとした。