• 令和3年分の路線価、全国平均路線価は「▲0.5%」で6年ぶりに下落。新型コロナが影響し、全国的に下落傾向。
  • 令和3年分においても、年の途中で大幅な地価下落が見られた場合は令和2年分と同様に路線価の補正を検討。

国税庁は7月1日、令和3年分の路線価等をホームページで公表した。

令和3年分の全国の平均路線価(標準宅地の評価基準額)は6年ぶりに下落に転じ、その下落率は「▲0.5%」であった。新型コロナウイルス感染症の影響で全国的に下落傾向となっており、昨年からの変化は、用途別では商業地が住宅地よりも大きく、地域別では三大都市圏が地方圏より大きくなっている。昨年と比べて変動は小幅な動きとなっているが、新型コロナが路線価の下落に影響を及ぼしていると言える。

平均路線価の状況を都道府県別でみると、上昇した都道府県の数は7(前年は21)で、下落した都道府県の数は39(同26)であった。上昇したのは北海道、宮城県、千葉県、福岡県、佐賀県、熊本県、沖縄県で、上昇率が最も高かったのは福岡県(+1.8%)であった。一方、下落率が最も高かったのは静岡県(▲1.6%)となっている。

都道府県庁所在都市の最高路線価(参照)をみると、最高路線価が上昇した都市は8都市(前年は38)で、下落した都市は22都市(同1)となっている。上昇した8都市のうち、札幌、仙台、宇都宮、千葉、横浜、福井、大分は、コロナ禍以前に着手していた再開発により上昇した。昨年は那覇で「+40.8%」の高い上昇率を記録したが、今年は仙台の「+3.8%」が最も高い上昇率となっている。22都市のうち最も下落率が高かったのは奈良(▲12.5%)で、新型コロナの影響により、観光客及びホテルの需要が減少したことが影響している模様だ。

全国で路線価が最も高かったのは36年連続で「東京都中央区銀座5丁目銀座中央通り」(鳩居堂前を含む4地点)であった。1㎡当たりの路線価は「4,272万円」であったが、その額は9年ぶりに減少(▲7%)に転じている。

国税庁では、令和3年分についても緊急事態宣言の発令などにより評価時点の1月1日以降も社会経済情勢が不安定なことから、今後、年の途中で大幅に地価が下落した地域が確認された場合には、令和2年分と同様に、路線価の補正を検討するとした。なお、令和2年分7〜12月分においては、大阪市中央区の一部地域で大幅な地価下落が確認されていた。