- 令和4事務年度の相互協議の発生件数は301件と、過去最多を更新。連結納税制度の廃止で申し立て単位の変更による増加分などが上乗せ。
国税庁が11月10日に公表した「令和4事務年度の『相互協議の状況』について」によると、令和4事務年度の相互協議の発生件数は301件(前事務年度比+22%)と、前事務年度に引き続き、過去最多を更新したことが明らかとなった(図参照)。このうち、事前確認に係るものは243件(前事務年度188件)と全体の8割を占めており、残りは移転価格課税(47件)その他(11件)に係るもので58件となっている。発生件数が増加した要因について同庁は、令和2年度の税制改正で連結納税制度が廃止されたことに伴い、連結法人ごとにまとめて1件でカウントしていた事案を各法人単位でカウントすることとなったため、申し立て単位の変更による増加分があることや、過去に合意していた事前確認について、新型コロナの影響で合意事項に再協議が必要となったケースなどが要因として考えられるとした。
処理件数は191件と、前事務年度(186件)から増加しており、処理事案1件当たりに要した平均処理期間は約30.2か月(前事務年度31.6か月)であった。事前確認事案及び移転価格課税その他事案1件当たりに要した平均処理期間も同程度となっており、事前確認に係るものは30.5か月、移転価格その他事案は29.2か月であった。
また、繰越件数については、令和4事務年度の発生件数が処理件数を上回ったため、742件と前事務年度より増加した。事前確認に係るものは586件、移転価格課税その他に係るものは156件だった。繰越事案の相手国の内訳をみてみると、米国(23%)、インド(15%)、中国(14%)、韓国(8%)、ドイツ(6%)の順となっている。