• LLCが「一人法人」の場合、収益は請求人に帰属するか争われた事案(東裁(所)令5第33号)。
  • 審判所、LLCは不動産の実質的な法律上の所有者であり、かつ、賃貸人であるといえ、不動産の賃料(収益)はLLCに帰属。

LLC法に準拠して設立された米国LLCについては、原則的に日本の私法上、外国法人に該当するものと取り扱われている。本件は、請求人が、自身が出資して米国の州法に基づき設立したLLC(Limited Liability Company)が所有名義人となっている不動産の賃貸から生ずる収入金額及び必要経費を、請求人の不動産所得の金額の計算に含めて確定申告を行ったが、原処分庁が更正処分等を行ったことから原処分の全部の取消しを求めた事案である。

LLCが外国法人に該当する(所法2条1項7号)ことについて争いはないが、請求人は、LLCは単なる名義人であって収益を享受しておらず、請求人自身が収益を享受したといえるから実質所得者課税の原則により、当該収益は請求人に帰属すると主張。LLCは請求人以外の自然人が組織的に一切関与しておらず、出資者は請求人だけであり、賃貸事業の経営も請求人自身により行われ、従業員等を雇用して業務に従事させているような事情もないことから、LLCが日本の租税法上の法人に該当したとしても、「一人法人」であって、実質的には請求人個人と同視できるとした。

審判所は、実質所得者課税の原則について規定した所得税法12条の趣旨から、担税力に応じた公平な税負担を実現するため、課税物件の法律上の帰属につき、その形式と実質が相違している場合には実質に即して帰属を判断すべきとの見解を示した。

その上で本件については、LLCは各不動産の所有名義人であることに加え、不動産1については、購入資金を借り入れ、さらには抵当権を設定して利用処分したり、税金の支払義務者として行動しており、不動産2についても、管理委託契約の当事者となっていると指摘。その一方で、LLCが単なる名義人であることをうかがわせる事情も見当たらないことから、LLCは各不動産の実質的な法律上の所有者であり、かつ、賃貸人であるといえ、各不動産の賃料(収益)はLLCに帰属するとして請求人の請求を棄却した。

なお、「一人法人」であることは、それのみで各不動産の収益が実質的に法律上請求人に帰属することをうかがわせる事情とは言えず、請求人が米国で各不動産に関する所得を請求人の所得として申告していることも判断を左右するものではないとした。