• 相続税調査、実地調査件数が8,556件(前事務年度+4.4%)と、前事務年度から増加。簡易な接触に係る事績も、いずれも増加し過去最高。
  • 無申告事案に対する追徴税額(123億円)は、事績の公表を始めた平成21事務年度以降で過去最高を記録。

国税庁が12月18日に公表した「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」によると、相続税の実地調査の件数は8,556件(前事務年度+4.4%)、申告漏れ等の非違件数は7,200件(同+2.3%)、申告漏れ課税価格は2,745億円(同+4.4%)、追徴税額は735億円(同+9.8%)となっており、いずれも前事務年度から増加したことが分かった。追徴税額については、過去10年で2番目に高い金額となっている。

実地調査の一方で、国税庁では文書、電話連絡又は来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの簡易な接触も活用している。令和5事務年度の簡易な接触については、接触件数18,781件(前事務年度+25.2%)、申告漏れ等の非違件数5,079件(同+37.8%)、申告漏れ課税価格954億円(同+39.0%)、追徴税額122億円(同+40.8%)のいずれも前事務年度から増加し、事績の公表を開始した平成28事務年度以降で過去最高を記録した。同庁は、令和4事務年度に引き続き、積極的に簡易な接触を活用したことで、事績が伸びているものとした。また、実地調査と簡易な接触をあわせた調査等の件数(27,337件)及び追徴税額(857億円)についても、平成28事務年度以降で過去最高となった。

海外資産関連事案に対する状況については、国税庁ではCRS情報をはじめとした租税条約等に基づく情報交換制度などを活用し、海外取引や海外資産の保有状況の把握に努めているところ、実地調査の件数は947件(前事務年度+12.1%)、非違件数は168件(同▲3.4%)であった。非違件数は前事務年度より減少したものの、過去最高であった前事務年度に次いで2番目に多かった。また、無申告事案の実地調査は690件(前事務年度▲2.1%)実施し、非違件数は613件(同+1.0%)であった。追徴税額は123億円(同+11.4%)であり、事績の公表を開始した平成21事務年度以降で過去最高となっている。

なお、贈与税に対しては、2,847件(前事務年度▲2.1%)の実地調査が行われ、非違件数は2,630件(同▲3.7%)、申告漏れ課税価格は264億円(同+28.1%)、追徴税額は108億円(同+37.5%)となっている。このうち無申告事案は2,393件あり、その申告漏れ課税価格は187億円であった。