- 令和5事務年度におけるCRSに基づく自動的情報交換、約246万件を93か国・地域から受領し、約51万件を外国税務当局に提供。
国税庁は1月31日、「令和5事務年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要」を公表した。令和5事務年度は日本居住者のCRS情報245万5,288件を、93か国・地域の外国税務当局から受領している。このうち個人口座は約243万件(残高約8.2兆円)、法人口座は約3万件(同6.0兆円)だった。地域別ではアジア・大洋州が最も多い193万4,804件、次いで欧州・NIS諸国の30万8,300件、北米・中南米の15万3,308件、中東・アフリカの5万8,876件となっている。また、外国税務当局(80か国・地域)に提供した外国居住者のCRS情報は51万782件(個人口座約49万件(残高約1.1兆円)、法人口座約2万件(残高約4.5兆円))であった。
自動的情報交換では、近年、暗号資産等を利用した脱税等のリスクが顕在化したことを受け、OECDが令和4年にCARF(暗号資産等報告枠組み)を策定した。これは、各国の税務当局が自国の暗号資産交換業者等から報告される非居住者の暗号資産等取引情報を、租税条約等に基づいて税務当局間で自動的に交換するための国際基準のことで、暗号資産交換業者等には税務当局への取引情報等の報告が義務付けられる。「税の透明性と情報交換に関するグローバル・フォーラム(171か国・地域が参加するOECDの関連組織)」に対しては、令和5年のG20ニューデリー首脳宣言において、令和9年の情報交換開始を原則とするCARF実施スケジュールの検討が要請されており、日本においては令和6年度税制改正で非居住者に係る暗号資産等取引情報の自動情報交換のための報告制度が整備された。同制度は令和8年から施行され、令和9年に「令和8年分」の報告を暗号資産交換業者等から受ける予定となっている。国税庁によると、令和9年からは54か国、令和10年からはさらに11か国が加わり、2年以内に65か国・地域と情報交換を開始するものとしている。
また、国別報告書(CbCR)の交換については、外国に最終親会社等がある2,315グループのCbCRを58か国・地域の外国税務当局から受領し、日本に最終親会社等がある927グループのCbCRを68か国・地域に提供している。
このほか、法定調書情報は、13万483件を外国税務当局から受領し、75万646件を提供している。提供した国別では、欧州・その他が最も多く、次いで北米・中南米、アジア・大洋州であった。