- 平成27年1月以降の相続税・贈与税の最高税率引上げ(50%→55%)を前に、最高税率が適用される高額財産の駆け込み贈与が発生。
- 高額贈与の影響で、平成26年分の申告税額(暦年課税)は前年比+70.8%(+1,071億円)と大幅に増加。
国税庁が5月29日に公表した「平成26年分の所得税及び復興特別所得税、消費税並びに贈与税の確定申告状況等について」によると、平成26年分の贈与税の納税者およびその申告税額が平成25年分と比べ大幅に増加したことが明らかとなった(図表1参照)。
具体的にみると、平成26年分の贈与税申告において暦年課税を適用した申告者は47万人で、平成25年分から3万人(+6.9%)増加した。このうち、納税額があった申告者は36万3,000人で、平成25年分(32万6,000人)から3万7,000人(+11.2%)増加。申告税額は2,584億円で、平成25年分(1,513億円)から1,071億円(+70.8%)増加した。
平成27年1月1日からの相続税増税(基礎控除の引下げ、最高税率の引上げ)を控え、生前に暦年贈与制度を適用することにより、親祖父母世代から子孫世代へ資産移転を図ろうとする動きが近年みられるなか、平成26年分の贈与税申告状況をみると、暦年課税を選択した納税者数の増加幅(前年比+11.2%)と比べ、暦年課税に係る贈与税の申告税額の増加幅(同+70.8%)が大きく上回っている点が注目される。
この点、国税庁への取材によると、この贈与税の申告税額の大幅な増加は、平成27年1月1日以降の相続等から適用される相続税および贈与税の“最高税率引上げ”(図表2参照)を前に、平成26年中において、最高税率が適用される高額財産の駆け込み生前贈与が行われたことが影響したようだ。