• 平成27年分の全国の平均路線価(標準宅地)は10都道府県で上昇。相続税の課税ベース拡大で関心が集まる東京都は+2.1%
  • 全国平均(標準宅地)は0.4%下落。ただ、下落幅は平成22年分以降、縮減の傾向が続く。
  • 最高路線価は、東京・名古屋・広島・大阪で対前年比+10%超の大幅な上昇。

国税庁は7月1日、平成27年分の路線価および評価倍率を記載した路線価図等を同庁ホームページで公開した。

平成27年分の全国の平均路線価(標準宅地の評価基準額)は、対前年比で0.4%下落したが、下落幅は前年分(-0.7%)よりも縮小した。全国の平均路線価の下落幅は、平成22年分以降、5年連続で縮減している。

標準宅地の平均路線価を都道府県別でみると、課税ベース拡大の影響を受けやすいとされる東京都は対前年比で2.1%上昇した。そのほか、愛知県(+1.0%)など10都道府県で前年の平均路線価を上回った。

都道府県庁所在地の最高路線価をみると、最高路線価が上昇した都市は21都市で昨年(18都市)から3都市増加した。アベノミクス効果による景況感の改善などが最高路線価の上昇につながったようだ。

都道府県庁所在地の最高路線価の上昇率をみると、東京(+14.2%)、名古屋(+11.5%)、広島(+10.2%)、大阪(+10.1%)の四都市が対前年比で10%超の高い上昇率を記録した。近年、三大都市圏(東京・名古屋・大阪)において最高路線価の大幅な上昇がみられるなか、広島の上昇率が10%を超えているのが際立つ。これは、広島駅前周辺で再開発が行われていることなどが影響しているようだ。そのほか、最高路線価の上昇率が高い都市をみると、北陸新幹線開業の影響を受けるかたちで、金沢が対前年比+9.3%という高い上昇率を記録した。なお、平成27年分の最高路線価が最も高かったのは、30年連続で東京都中央区銀座5丁目の鳩居堂前で、1㎡当たり2,696万円(対前年比+14.2%)であった。

東日本大震災により被災した地域は、平成27年1月1日現在で原発事故に関する「帰宅困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」に設定されていた区域内にある土地等については、路線価等を定めることが困難であるため、平成26年分と同様に、相続税・贈与税の申告に当たり、その価額を「0」として差し支えないこととされている。