- 国外財産調書、提出2年目を迎える平成26年分の提出件数は8,184件。適用初年度から2,000件超増加。
- 国外財産に関する所得税の申告漏れで加算税が加重(+5%)された事例も。国税庁、調書の対象見込者に対して文書照会などを実施。
- 国外財産調書の提出者は東京・名古屋・大阪に集中する傾向。提出件数の9割近くを占める。
今年で提出2年目を迎える「国外財産調書制度」は、その年の12月31日時点で5,000万円超の国外財産を保有する個人に対して、その国外財産の保有状況(財産の種類、数量、金額)の申告を義務付けるもの(提出期限は翌年3月15日)。
国税庁が10月20日に公表した「平成26年分の国外財産調書の提出状況について」によると、平成26年分の提出件数は8,184件(平成27年6月末までに提出されたもの)で適用初年度(平成25年分)の5,539件(平成26年3月17日までに提出されたもの)と比較して、2,645件増加したことが明らかとなった。
この提出件数の増加に関し国税庁は、適用初年度である前年と比較して国外財産調書制度の周知が進んだ結果とみる一方で、提出義務があるにもかかわらず提出をしていない者もある程度いるとみている。国税庁によると、税務調査などで国外財産に関する所得税の申告漏れが発覚し、加算税の加重措置(+5%)が適用された事例があったもよう。
国税庁は、税務調査や国税当局が保有する資料などに照らし、国外財産調書の対象と見込まれる者に対して文書照会や行政指導などを行っていく方針だ。
なお、平成26年分の国外財産調書に記載された国外財産の総額は3兆1,150億円であった。国外財産の種類別の内訳をみると、有価証券が1兆6,845億円で全体の54.1%を占める。次いで、預貯金(5,401億円)、建物(2,841億円)、貸付金(1,164億円)、土地(1,068億円)が上位に並んだ。
また、平成26年分の国外財産調書の提出件数を国税局別でみると、東京局5,382件、大阪局1,054件、名古屋局632件の順に多く、この3局で全体の約9割(86.4%)を占める。国外財産調書制度の提出者は三大都市圏に集中している格好だ(表参照)。