- 平成28年分確定申告、所得金額1億円超の申告が2万件を上回る。
- 平成28年分の国外転出時課税制度に基づく所得税の課税対象となる含み益の額は1,013億7,400万円と平成27年分に比べ大幅に増加。
- 申告書へのマイナンバー記載率は83%。
国税庁が5月31日に公表した「平成28年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」によると、申告納税額は3兆621億円(前年分比+3.1%)と平成10年分以降で最高となっていることが分かった。所得税等の確定申告書の提出人員は2,169万人(前年分比+0.8%)で、このうち所得金額1億円超の申告を行ったのは2万383人と、5年前(平成23年分、1万2,750人)から大幅に増加した。
また、国外転出時課税制度が平成27年7月1日から施行されているが、平成28年分の確定申告において、同制度に基づき提出された所得税の申告書は99件(平成27年分は43件)、所得税の課税対象となる含み益の額は1,013億7,400万円(同92億9,100万円)と大幅に増加している。
贈与税に関しては、申告書の提出人員が50万9,000人(前年分比▲5.4%)、納税人員は37万1,000人(同▲3.2%)、申告納税額は2,252億円(同▲6.2%)であり、いずれも平成27年分より減少。このうち、暦年課税を適用した人は46万4,000人(同▲5.0%)で、申告納税額は1,927億円(同▲10.8%)。一方、相続時精算課税制度を適用した人は4万5,000人(同▲9.3%)で、申告納税額は325億円(同+35.0%)となっている。
加えて、平成28年分の確定申告より、申告書へのマイナンバー(個人番号)の記載が必須となったが、全国的な確定申告書へのマイナンバー記載率は所得税が83%、個人消費税が73%、贈与税が82%と高水準に達した。しかし、各地の国税局・国税事務所ごとの所得税の確定申告書へのマイナンバー記載率をみると、金沢(87%)、名古屋(86%)、東京(85%)など高い地域がある一方、沖縄(66%)、熊本(78%)、仙台(78%)など低い地域もある。
なお、国税庁は業務効率化のため、確定申告へのICTの活用を推進している。平成28年分の確定申告で、ICTを利用し所得税等の確定申告書を提出したのは約1,335万人(前年比+6.0%)で、全体の6割以上を占める。さらに、平成28年分の確定申告から、地方自治体の特設会場でもe-Taxによる申告が可能となった。今回は、236の自治体が特設会場でのe-Taxによる申告を受け付け、合計14万人分の申告書が提出された。