• 移転価格事務運営要領等を改正へ。OECD移転価格ガイドラインにおけるグループ内役務提供取引の簡易な算定方法の適用要件定める。

国税庁が11月10日に公表した「移転価格事務運営要領」(事務運営指針)等の一部を改正案は、グループ内役務提供取引について、従来の独立企業間価格の算定方法に加え簡易な算定方法がOECD移転価格ガイドラインに反映されたことなどを踏まえた見直しとなっている。

具体的には、一定のグループ内役務提供取引について、企業が役務提供に要した費用に5%を乗じた金額を加算した金額を対価の額としているときは、その対価の額を独立企業間価格として取り扱う旨を新設。適用要件として、①役務提供が支援的な性質のものであり、法人及び国外関連者が属する企業グループの中核的事業活動には直接関連しないこと、②役務提供において、法人又は国外関連者が保有し、又は他の者から使用許諾を受けた無形資産を使用していないこと、③役務提供において、法人又は国外関連者が、重要なリスクの引受け若しくは管理又は創出を行っていないこと、④役務提供の内容が、研究開発、製造、販売及び金融等に該当しないこと、⑤同種の役務提供を非関連者に対して行っていないこと、⑥①から⑤までに掲げる要件の全てを満たした企業グループにおける役務提供について、その内容に応じて区分し、その区分ごとに役務提供に係る総原価の額を合理的な方法によりその役務提供を受けた者に配分した金額に、その金額に5%を乗じた額を加算した金額をもってその役務提供の対価の額としていること、⑦役務提供の内容を記載した書類等を作成し、又は取得し、保存していることを挙げている。

また、役務提供に該当しない親会社が専ら自らのために行う国外関連者の株主としての活動の例示として、親会社の株式上場、親会社の株主等に向けて行う広報、国別報告事項の作成、コーポレート・ガバナンスに関する活動などを追加している。

そのほか、事前確認審査を効率的かつ迅速に行う必要があることから、事前確認に係る手続の見直しも行われる。例えば、相互協議を伴う事前確認の申出について、申出の提出期限の翌日から3年を経過しても相手国において申出が収受されていない場合には、申出の取下げ又は相互協議を伴わない事前確認のいずれとするかを法人から聴取し、聴取の日の翌日から3か月を経過する日までに法人から回答がない場合には、事前確認を行うことができない旨の通知を行うことを明記する。