- 平成28事務年度における相互協議事案の発生件数は162件、処理件数は過去最多の水準の171件。
- 相互協議事案の繰越件数は4年ぶりに減少。アジア・大洋州が半数を占める。
- OECD非加盟国に限れば、繰越件数は過去最多の178件。相互協議の平均処理期間も36.9か月と長期化。
国税庁が11月22日に公表した「平成28事務年度の『相互協議の状況』について」によると、相互協議事案の発生件数は162件(前事務年度195件)、処理件数は171件(同155件)と過去最多の水準となり発生件数を上回った。発生件数のうち、131件は事前確認に係るもので約8割を占める。残り31件は移転価格課税等(恒久的施設(PE)事案、源泉所得税事案等)となっている。
処理事案1件当たりの平均期間は29.1か月(同26.0か月)で、このうち事前確認に係るものは28.9か月、移転価格課税等に係るものは30.2か月と国税庁が目指す「24か月以内の処理」よりも長期化した。
繰越件数は456件(同465件)と、処理件数が発生件数を上回った結果、4年ぶりに減少した。地域別では、アジア・大洋州が229件とトップ。次いで米州の124件、欧州の103件となっている。また、国別でみると米国(25%)が最多であり、以下、中国(20%)、韓国(9%)、インド(9%)、英国(8%)の順となる。
なお、OECD非加盟国・地域(中国、香港、インド、インドネシア、マレーシア、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム)との相互協議はこれまでと同じく進んでいない。発生件数は41件、処理件数は28件であり、繰越件数は過去最高の178件にのぼっている(図参照)。これは全体の繰越件数の39%に相当する。処理事案の1件当たりの平均期間も36.9か月(同33.3か月)とさらに長期化している。理由としては相手国の経験不足や担当部局の人材不足などが挙げられる。