- 請求人の店舗内でのみ利用できる商品券(カード会社発行)の販売に係る消費税の課税関係をめぐり、審判所が更正処分等の一部を取消す(平成29年8月7日裁決・関裁(諸)平29第1号)。
- 審判所、商品券の無償交付を資産の譲渡等に含めた点が誤りと指摘。また、カード発行会社への商品券精算手数料は課税仕入れと判断。
ドラッグストアなどを経営する請求人は、請求人の店舗でのみ顧客が使用できる「商品券」と引き換えに商品を販売することができる「ギフトカード加盟店」となる契約をカード会社の間で締結していた(商品券の発行及び販売などの流れは図参照)。
請求人は、商品券を券面金額1,000円で顧客に販売していたほか、顧客への無償交付も行っていた。請求人は、消費税申告の際に、商品券の顧客に対する販売を不課税取引と判断し、その販売高を資産の譲渡等の対価に含めていなかった。これに対し原処分庁は、請求人による商品券の顧客への販売は非課税資産の譲渡等である物品切手(消法別表第1第4号ハ)の譲渡に該当するとして、販売高を資産の譲渡等の対価に含めて算出した課税売上割合に基づき仕入税額控除を計算したうえで消費税更正処分等を行った。これを不服とした請求人は、商品券の顧客への販売は物品切手の譲渡に該当しないなどと主張したものの、国税不服審判所はこの請求人の主張を斥けた。
一方で審判所は、消費税更正処分等について、請求人が顧客に対して商品券を無償交付した部分の金額は資産の譲渡等には該当しないから、無償交付に係る金額を資産の譲渡等の対価に含めている点には誤りがあると指摘。また、審判所は、請求人が商品と引き換えに顧客から受け取った商品券をカード会社に引き渡す際に受け取った精算金から差し引かれた商品券精算手数料について、請求人は課税仕入れとして経理していなかったものの、課税資産の譲渡等と非課税資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れとして仕入税額控除を再計算すべきなどと指摘した。以上を踏まえ審判所は、請求人の消費税等の納付すべき税額を計算すると消費税更正処分等の金額を下回ると判断し、更正処分等の一部を取り消した。