- 平成29年分確定申告、所得金額1億円超の申告は2万3千件を超える。
- 雑所得の収入が1億円以上ある人は549人と前年より大幅に増加。このうち仮想通貨取引による収入があると判別できた人は331人。
- セルフメディケーション税制の適用者は2万6千人。
国税庁が5月25日に公表した「平成29年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」によると、公的年金等以外の雑所得に係る収入金額が1億円以上ある人数は549人で、前年分の238人より大きく増加したことが分かった。このうち仮想通貨取引による収入があると判別できたのは331人にのぼった。主な所得が雑所得の人の所得金額及び申告納税額も前年分に比べて増加しており、所得金額は600億円増加の1兆9,247億円、申告納税額は300億円増加して905億円となっている。
平成29年分所得税等の確定申告書の提出人員は2,198万人(前年度比+1.3%)で、所得金額は41兆4,298億円(同+3.4%)と平成20年分以降で過去最高の水準。申告納税額も3兆2,037億円(同+4.6%)と平成10年分以降で過去最高水準となった。なお、所得金額1億円超の申告を行ったのは2万3,093人と前年分と比較して2,710人増加している。
平成29年1月より適用が開始されたセルフメディケーション税制については、医療費控除の適用を受けた749万人(前年度比+3.6%)のうち、2万6千人が適用を受けた。また、国外転出時課税制度に基づき提出された所得税の申告書は92件(前年分99件)で、所得税の課税対象となる含み益額は889億5,600億円(同1,013億7,400万円)となっている。
平成28年分の確定申告からマイナンバーの記載が必須となり、2年目となった平成29年分の確定申告書へのマイナンバーの記載率は、所得税が83.5%、贈与税が82.1%、消費税が74.2%で、いずれも前年より増加した。各地の国税局・国税事務所の所得税の申告書のマイナンバー記載率については、金沢87.4%(前年度割合87.0%)、東京86.1%(同85.4%)、広島84.3%(同82.9%)と増加している地域がある一方、名古屋85.9%(同86.0%)、大阪82.2%(同82.4%)、福岡80.8%(同81.8%)と記載率は高いが、割合がやや減少した地域もあった。
また、贈与税に関しては、申告書の提出人員は50万7千人(前年度比▲0.5%)、納税人員は36万9千人(同▲0.4%)で前年分と比較してほぼ横ばいとなったが、申告納税額は2,077億円(同▲7.8%)となり3年連続で減少した。