- 商業等活性化税制、平成27年度税制改正で適用対象事業者の範囲や対象設備を見直し。
- 適用対象事業者の範囲から、認定経営革新等支援機関や農業協同組合、商工会議所などを除外。
- 対象設備は“経営の改善に資する資産”に限定。必要書類には、経営改善前の売上等の見通しや経営改善の効果などの記載が必要に。
商業・サービス業・農林水産業活性化税制とは、「認定経営革新等支援機関」等から経営改善に関する指導および助言を受けた中小企業者等が、その指導および助言に基づく設備投資をした場合に税制優遇措置(特別償却30%または税額控除7%)を受けることができる制度だ。同制度のキーとなる「認定経営革新等支援機関」の数は23,493機関(平成27年3月12日時点)で、このうち8割近くを税理士・税理士法人が占めている。
同制度に関し平成27年度税制改正では、適用期限が2年(平成29年3月31日まで)延長される一方で、適用対象事業者の範囲や対象設備の範囲の見直しが行われた。具体的には、同制度の適用対象事業者から認定経営革新等支援機関や農業協同組合、商工会議所などが除外された(新措法42の12の3①、新措令27の12の3①)。これは、旧法上、指導および助言を行う認定経営革新等支援機関等が同制度の適用対象事業者として税制優遇措置を受けることが可能であったため、これを見直すために改正されたものだ。
対象設備の見直しについては、建物付属設備(1台60万円以上)や器具備品(1台30万円以上)が同制度の対象となる点に変更はない一方で、同制度の適用対象が「経営の改善に資する資産としてその交付を受けた経営改善指導助言書類に記載された器具備品および建物付属設備」に限定された(新措法42の12の3①)。この「経営改善指導助言書類」とは、中小企業者等が認定経営革新等支援機関等から経営改善に関する指導および助言を受けた旨を明らかにする書類のこと。本誌取材によると、適用対象となる設備が「経営の改善に資する資産」に限定されたことにより、経営改善指導助言書類には、①経営改善前の売上等の見通し(売上・利益が直近決算から何%増減するか)、②設備投資を含めた経営改善の効果(売上・利益が当初の見通しから何%程度増加する見込みか)などを記載する必要があることが確認されている。なお、経営の改善に資する資産に該当するか否かは、個々の企業の実態に応じて認定経営革新等支援機関等が判断することになる。