- 代表取締役が個人名義のカードの利用により支払った飲食等代金を交際費等として費用計上したことに仮装隠ぺいの事実は認められないと判断。重加算税を取り消す(平成30年9月21日裁決)。
- 審判所、代表取締役が個人的な費用であることを認識しながら費用(損金)計上したとは認められず。
本件の発端は、請求人の代表取締役がその個人名義のクレジットカードにより支払った飲食等代金を請求人の交際費勘定等に費用計上したことである。請求人に対する税務調査のなかで調査担当職員は、飲食等代金は代表取締役の個人的な飲食等に係る金額であることから損金に算入できないことを指摘した。この指摘を受けた請求人は、飲食等代金を所得金額に加算する内容の法人税修正申告書を提出するとともに、飲食等代金を請求人の代表取締役に対する貸付金とする内容の金銭消費貸借契約書を作成した。修正申告に対し原処分庁は、請求人が代表取締役の個人的な飲食等代金を損金に算入したことが仮装隠ぺいに該当すると判断して請求人に対して重加算税を賦課した。これを不服とした請求人は、仮装隠ぺいの事実はない旨を主張して審査請求により重加算税の取り消しを求めた。これに対し原処分庁は、審査請求のなかで、①クレジットカードが代表取締役の個人名義のクレジットカードであること、②代表取締役が飲食等代金は請求人の業務に関連するものではなく、個人で飲食等をした代金であると申述していることなどを指摘したうえで、請求人は飲食等代金を費用に計上できないことを認識しながら、その全部又は一部を損金に算入したことが重加算税の賦課要件である「仮装隠ぺい」の事実に該当する旨を主張していた。
審判所は、クレジットカードが代表取締役の個人名義であることのみをもって、飲食等代金が代表取締役の個人的な飲食等に係る金額であるとまでは言えないと指摘。また、代表取締役による申述(クレジットカードの利用による飲食代のすべてが個人的な飲食代である旨)については、飲食等代金について概括的に述べたもので個々の支出に言及したものではなく、具体性が乏しいうえにその内容を裏付ける客観的な証拠が認められない点を指摘した。以上の点などを踏まえ審判所は、飲食等代金のすべてについて個人的な費用であることを代表取締役が認識しながら請求人の費用(損金)として計上したとは認められない(仮装隠ぺいの事実は認められない)と判断したうえで、重加算税を取り消した。