- 平成30年分確定申告、所得金額が1億円超の申告は2万3,673人で前年分と同水準で推移。
- スマートフォンによる所得税等の申告を行ったのは36万6千人。このうち半数以上が書面で申告書を提出。
- 贈与税の申告人員は減少も、納税額は大きな贈与があったことで増加。
国税庁が5月30日に公表した「平成30年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」によると、平成30年1月から利用が開始されたスマートフォン等を利用した所得税等の確定申告について、36万6千人が申告書の作成・提出を行ったことが分かった。このうち自宅等からe-Taxで申告書を提出した人は17万8千人、スマホで作成したのち書面で申告書を提出した人は18万8千人と、書面申告が電子申告をやや上回った。また、ICTを利用した所得税等の申告書の提出人員1,531万1千人のうち、国税庁HPの作成コーナーで作成し、e-Taxで提出を行った人は前年の61万5千人から倍増した124万人だった。
平成30年分の所得税等の確定申告書については、提出人員は2,222万人(対前年比+1.1%)で、所得金額は42兆1,274億円(同+1.7%)と平成20年分以降で過去最高の水準となった。申告納税額も3兆2,826億円(同+2.5%)で平成10年分以降最高の水準となった。所得金額が1億円超の申告を行ったのは、2万3,673人で前年の2万3,093人と同水準で推移した。また、雑所得の収入が1億円以上ある465人(同549人)のうち、仮想通貨取引による収入があると判別できたのは271人(同331人)といずれも減少した。なお、雑損控除の適用を受けた人は4万4千人(対前年比+92.8%)で、雑損控除額は1,138億円(同+256.1%)となった。控除額が増加した理由について国税庁は、大阪府北部を震源とする地震や平成30年7月豪雨などの大きな災害が影響したものとしている。
そのほか、国外転出時課税制度に基づき提出された所得税の申告書は88件(同92件)で、所得税の課税対象となる含み益額は923億円(同889億5,600万円)となっている。
贈与税に関しては、申告書の提出人員は49万4千人(対前年比▲2.5%)で、納税人員は36万人(同▲2.5%)と減少した一方、申告納税額は2,788億円(同+34.2%)と増加した。国税庁によると、課税価格が10億~30億円の贈与など、大きな贈与がいくつかあったことが申告納税額の底上げの要因になったとしている。