- 平成30年度査察事績、消費税事案の告発件数が41件(前年度比+14件)で大幅に増加。
- 消費税受還付事案は16件を告発、うち不正受還付「未遂犯」の告発は8件(過去最多)。
平成30年度において国税庁は、特に消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案のほか、近年市場が拡大する分野における事案などの社会的波及効果の高い事案に対する積極的な取組みを展開していた。国税庁が6月13日に公表した「平成30年度 査察の概要」は、同庁の取り組みの成果を色濃く反映するものとなっている。
具体的にみると、平成30年度の消費税事案の告発件数は41件(前年度比+14件)で、過年度と比較しても高水準の告発件数であった。告発件数41件のうち、消費税受還付事案は16件で(同+4件)で、平成23年度税制改正で創設された受還付未遂犯は過去最多の8件が告発された。
国税庁によると、消費税受還付事案の告発事例には、免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した事例や太陽光発電施設の取得を装った事例があったようだ。
平成30年度の無申告ほ脱事案の告発件数は18件で前年度より3件減少したものの、平成23年度税制改正で創設された単純無申告ほ脱事案の告発件数は過去最多の10件(前年度比+2件)であった。なお、平成30年度の国際事案の告発件数は20件(同+5件)で、近年でみると高い水準を維持している。そのほか、市場が拡大する分野など社会的波及効果の高い事案では、好況なネット通販事業者や不動産業者などが告発された。
平成30年度中に一審判決が言い渡された査察事件は122件で、有罪率は100%であった。実刑判決は7人に出されており、査察事件単独に係るもので最も重いものは懲役4年6月であった。この事案は、美容関連製品の輸出販売会社が架空の国内仕入及び架空の輸出売上を計上する方法により、3億300万円の消費税の不正還付を受けていたものだ(会社代表者に実刑判決)。