- 平成29年度分の会社標本調査、景気の回復と平成27年度税制改正による影響で、欠損法人割合が0.9ポイント減少。
- 寄附金の支出額は7,610億円で、前年度の伸び率が大きかったため5年ぶりに減少。
国税庁が6月19日に公表した平成29年度分の「会社標本調査」によると、全法人に占める欠損法人の割合は62.6%(前年度比▲0.9ポイント)で、8年連続で減少したことがわかった。国税庁では、景気回復の影響だけで欠損法人が減ったのではなく、平成27年度税制改正の繰越欠損金の控除制限によるものが、減少の理由の一つとなっていると考えている。なお、繰越欠損金の当期控除額は8兆3,627億円(前年度比+10.1%)で3年ぶりに増加、翌期繰越額は68兆9,888億円(同+0.8%)と3年連続で増加している(下表参照)。
寄附金支出額は7,610億円(前年度比▲32.2%)で5年ぶりに減少に転じた。この理由について国税庁は、平成28年度分の伸び率が大きかったためであるとしている。寄附金の中には、関連子会社やグループ会社、国外関連者等に対する資金繰りのための資金移動も含まれているため、一社の中で大きい資金移動があれば金額も増えるとしている。ただし全体的な要因としては連結法人数の増加に伴う寄付金額の上昇が大きいとした。また、交際費等の支出額については3兆8,104億円(同+5.1%)と、6年連続で増加した。
このほか、連結子会社を含む全体の法人数は270万6,627社(同+1.3%)で、このうち連結親法人は1.726社(同+4.9%)、連結子法人は1万2,671社(同+6.4%)であり、連結子法人の数を差し引いた全法人数の269万3,956社は昭和26年分の統計以降、過去最大の数字となっている。また、法人税額は11兆9,772億円(同+14.4%)で、減少に転じた前年度より1兆5,096億円増加した。