- 審判所、消費税の課税を免れるため売上金額を集計した表を調整した行為は、事実の隠ぺい又は仮装に当たると判断(平成30年12月4日公表裁決)。
本事案は、請求人が平成21年~平成27年分の各取引先に対する売上金額を集計した表(以下「本件各年次集計表」)を調整し、消費税の課税事業者にならないよう事業所得の売上金額を1,000万円以下に減額したことが隠ぺい又は仮装に当たるかについて争われたものである。請求人は、本件各年次集計表は決算時のメモであり、これに基づいた確定申告書は提出していないとして、隠ぺい仮装には当たらないと主張していた。
国税不服審判所は、重加算税を賦課するためには、過少申告行為又は無申告行為そのものとは別に、隠ぺい、仮装と評価すべき行為が存在し、これに合わせた過少申告行為又は無申告行為がされたことを要すると指摘。請求人においては、平成21年課税期間以降に消費税等の課税事業者にならないようにする目的で、平成19年分以降、売上金額を1,000万円以下の金額に減額して所得税等の申告をすることとし、本件各年次集計表において、申告する売上金額に○印や下線を付すなどして、売上金額の合計額を1,000万円以下になるように調整したものと認定。調整後の金額のみ申告すれば足りるかのように装ったとともに、消費税等の納税義務が無いかのように装った請求人の行為は、過少申告行為又は無申告行為そのものとは別の隠ぺい又は仮装と評価すべき行為であるとした。また、請求人の主張する「本件各年次集計表は決算時のメモであり、これに基づく申告をしていない」ことに対しても、本件各年次集計表の売上金額の合計額が1,000万円以下になるように調整し、平成21年~平成27年分収支内訳書に転記して所得税等の申告をしたものとして、認めないとした。
また、請求人の隠ぺい又は仮装は、税の賦課徴収を著しく困難にするような不正行為に当たる、偽りその他不正行為に該当するとして、所得税等及び消費税等の税額を免れたと認定された。しかし、平成21年分の所得税については、偽りその他不正の行為により売り上げに加算されなかった金額を上回る必要経費があったため、偽りその他不正の行為に係る所得金額は零円となり、請求人は所得税を免れたものとは言えないと判断。以上のことから審判所は、請求人の平成21年分の所得税に係る重加算税の賦課決定処分の全部は取り消し、その他の消費税の課税を免れるため売上金額を調整した行為は、事実の隠ぺい又は仮装に当たるとした。