• 一定期間災害保障重視型定期保険等の損金算入割合を大幅に引き下げる改正法基通が6月28日公表。
  • パブコメを受け、解約返戻金がない又はごく少額の医療保険やガン保険の短期払いの保険料は、年間「30万円」を超える場合、一部資産計上が必要に。
  • 資産計上累計額は、保険料払込終了~116歳迄の期間按分で損金処理。

高い節税効果が税務当局や金融庁から問題視されていた一定期間災害保障重視型定期保険等の損金算入割合を大幅に引き下げる改正法人税基本通達が平成31年4月11日から令和元年5月10日までパブリックコメントに付されていたが、国税庁は6月28日、同通達の確定版を公表した。確定版は、パブリックコメントに寄せられた意見を取り入れる形で、原案から一部変更が加えられている。

改正通達では、定期保険、逓増定期保険に関する部分については基本的に変更点はなく、原案どおり、最高解約返戻率が85%を超える場合、損金算入額はわずか「最高解約返戻率の10%」相当となる。原案では空欄とされていた通達の適用開始日は「令和元年7月8日」以後の保険契約に係る保険料からとされた。もっとも、保険会社側は遅くとも「平成31年3月1日」には自ら実質的に販売を停止しており、同日後の契約で、旧通達の適用を受ける事例は存在しないものと思われる。

パブリックコメントに寄せられた意見を踏まえ、改正通達に変更が加えられたのが、解約返戻金がない又はごく少額の医療保険やガン保険といった保険の短期払い保険料の処理だ。

当該保険料はこれまでは全額損金とされてきたが、改正通達では、一被保険者につき年間保険料が「30万円以下」までは全額損金算入を認めることとした。5年や10年といった短期払いの保険料は30万円を超えることが多く、その場合、保険料の大半の資産計上が求められることになる。

短期払保険料が30万円を超える場合は、保険料の払込終了日から被保険者の年齢が「116歳」に達する日までを計算上の保険期間とし、資産計上累計額を、保険料の払込終了から116歳までの期間で按分して毎年損金処理することになる。この改正部分は、10月8日以後に新たに契約する保険契約に係る保険料について適用される。

このように、今回の改正通達は適用開始日が「7月8日」と「10月8日」の2つ存在することになるが、いずれも同日前の契約への遡及適用はない。