• 審判所、更正の請求に対する通知処分の取消しを求める審査請求において、更正請求期限の経過後に、更正請求書に記載しなかった事由を違法事由として新たに主張できず。
  • 請求人の更正の請求は法定申告期限の5年を経過しているため、内容の当否に係わらず主張は採用できないと判断。

今回紹介する裁決事例は、更正の請求に対する通知処分の取消しを求める審査請求において、更正の請求期限である5年を経過した後に、更正請求書に記載しなかった事由を新たに主張できるかが争われたものである。

請求人は、原処分庁の実地調査に基づき期限後申告した平成23年分の売上のうちの特定のものについて、金額誤りや収入計上時期に誤りがあり同年分の収入金額が過大であるとして更正の請求を行ったほか、本件更正の請求において更正の請求事由としなかった特定の売上以外の他の収入についても収入金額が過大であるとして更正の請求が認められるべきであるなどと主張していた。

審判所は、請求人が主張する収入金額が過大であるとする主張に対しては金額誤りや収入金額に誤りがあるとは認められないとの判断を示した。

また、更正の請求において更正の請求事由としなかったことを新たに主張できるかどうかという点については、更正の請求が提出した申告書に係る国税の法定申告期限から5年以内の請求期限を設け(通則法23条1項)、その理由等を記載した更正請求書を課税庁に提出すること(同条3項)を求めていることに鑑みれば、租税法律関係の早期安定及び税務行政の能率的な運営等を図る趣旨から、少なくとも更正請求期限を経過した後においては、更正請求書に記載しなかった事由を当該通知処分の違法事由として新たに主張することは許されないとの見解を示した。

その上で本件についてみると、請求人の平成23年分の所得税の更正請求期限は、同年分の所得税の法定申告期限(平成24年3月15日)から5年経過後の平成29年3月15日であるから、請求人が審査請求をした平成30年4月6日時点で、平成23年分の所得税に係る更正請求期間が経過していることは明らかであると指摘。審査請求において請求人が新たに主張していた更正請求書に記載しなかった他の収入については、内容の当否に係わらず採用することはできないとの判断を示した。