• 国税庁、平成30事務年度の法人税の調査件数は対前事務年度比+1.3%の9万8,910件。
  • 法人税・消費税に関する簡易な接触件数は4万3,000件。実地調査と簡易な接触の件数を合計した納税者への接触率は「4.5%」。

国税庁が11月8日に公表した「平成30事務年度における法人税等の調査事績の概要」によると、法人税の実地調査件数は9万8,910件(対前事務年度比+1.3%)であることが明らかとなった。このうち非違があった件数は7万4,000件(同+1.8%)、調査による追徴税額は1,943億円(▲0.2%)となっている。なお、法人税等の実地調査率は「3.2%」(税務署所管法人3.1%、局所管法人9.8%)で、調査1件当たりの平均日数は11日であった。

連結法人に係る法人税の実地調査の状況をみると、実地調査件数は194件(対前事務年度比+11.5%)、非違があった件数は185件(同+10.8%)となっており、調査による追徴税額(地方法人税を含む)は215億8,200万円(▲29.4%)であった。

国税庁が主要な取組みの1つとしている消費税還付申告法人に対する調査をみると、平成30事務年度の実地調査の件数は6,553件(対前事務年度比▲2.5%)で、消費税174億5,600万円(同▲32.1%)を追徴課税している。このうち829件(同+5.3%)は不正に還付金額の水増しなどを行っており、調査による追徴税額は46億9,000万円(同▲19.6%)となっている。同庁によると、近年の実地調査の件数はほぼ横ばいないし減少しているが、不正計算があった件数は確実に増加しており、長期的にみれば追徴税額は増加傾向にあるとしている。併せて今年度は、消費税の税制改正があったタイミングであり、消費税に関する世間の関心も高まってきていることから、より一層重点的に取り組むとしている。

また、実地調査を行う一方で、それ以外の納税者に対しては電話やはがき等の送付による簡易な接触も行っている。平成30事務年度における法人税・消費税の簡易な接触件数は4万3,000件で、その申告漏れ所得金額(法人税)は44億円、追徴税額(法人税・消費税)は40億円であった。こうした簡易な接触による取組みにより、平成30事務年度では簡易な接触件数と実地調査件数を合計した法人税・消費税の観点からの接触率が「4.5%」((税務署実施の簡易な接触件数+実地調査の件数)÷税務署所管法人数)となった。なお、4.5%の内訳は、実地調査が3.1%(税務署所管法人)、簡易な接触が1.4%となっている。