- 所有者不明土地等に対して課税上の整備。登記簿上の所有者が死亡し、相続登記がされるまでの間、条例により、相続人等に氏名・住所等を申告。令和2年4月1日適用。
- 市町村が調査をしても固定資産の所有者が不明な場合は、使用者を所有者とみなして固定資産税を課税。令和3年度以後の年度の固定資産税について適用。
令和2年度税制改正では、近年増加している所有者不明土地等に係る課税上の整備が行われる。相続登記がされていない所有者不明土地の場合には、課税庁が新たな納税義務者となる相続人を調査し、特定することになる。特定には、法定相続人全員の戸籍の請求など、調査事務に多大な時間と労力が必要になる。
このため、今回の改正では、登記簿上の所有者が死亡し、相続登記がされるまでの間において、現に所有している者(相続人等)に対し、市町村の条例で定めることにより、当該現所有者の氏名、住所その他固定資産税の賦課徴収に必要な事項を申告させることができることとする。申告しない場合には、固定資産税における他の申告制度と同様の罰則を設ける予定だ。令和2年4月1日以後の条例の施行の日以後に現所有者であることを知った者について適用する。
また、固定資産を使用している者がいるにもかかわらず、所有者が正常に登記されていないことによって、課税庁が調査をしても所有者が1人も特定できないケースが存在する。このようなケースについては、現行法上は震災等の事由によって所有者が不明の場合に使用者を所有者とみなして課税できる規定があるものの、適用は災害の場合に限定されている。このため、誰にも課税できないという状況になっている。
今回の改正では、市町村は一定の調査を尽くしてもなお、固定資産の所有者が1人も明らかとならない場合には、その使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することができることとする。この「一定の調査」とは、住民基本台帳及び戸籍簿等の調査並びに使用者と思料される者その他の関係者への質問その他の所有者の特定のために必要な調査としている。なお、使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録しようする場合には、その旨を当該使用者に通知されることになる。適用は令和3年度以後の年度の固定資産税からとされている。
平成28年度における地籍調査によれば不動産登記簿で所有者等の所在が確認できない土地の割合は全国で20.1%にのぼるとされている。