• 相続税の追徴税額は708億円(前事務年度783億円)で減少。基礎控除額の引下げに伴い、財産を多く持っていない納税者が増えていることが要因の1つに。
  • 無申告事案に係る非違件数(1,232件)及び追徴税額の総額(101億円)は平成17事務年度以降で最多。

国税庁が12月19日に公表した「平成30事務年度における相続税の調査等の状況」によると、平成30事務年度における相続税の実地調査の件数は12,463件(前事務年度12,576件)で、このうち非違件数は10,684件(同10,521件)であることがわかった。申告漏れ課税価格は3,538億円(同3,523億円)となっており、追徴税額(加算税を含む)は708億円(同783億円)で、実地調査1件当たりでは568万円(同623万円)だった。追徴税額が減少した理由について国税庁は、平成27年の相続税の基礎控除額の引下げ等に伴い、全体の納税者のうち、財産をあまり多く持っていない納税者の比率が大きいことが要因の一つであるとした。また、重加算税の賦課件数は1,762件と、前事務年度(1,504件)と比べて大きく増加した(対前事務年度比+17.2%)。実地調査の件数が横ばいで推移しているのに対し、重加算税の割合が増加していることについて同庁は、悪質な納税者に対して的確に調査ができたのではないかとしている。

相続税における簡易な接触(相続税における簡易な接触とは、文書、電話による連絡または来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの接触をいう。)の件数は10,332件と、前事務年度(11,198件)より減少した。国税庁は、前事務年度においては基礎控除の引下げも勘案して積極的に簡易な接触を実施したことで、対前年で大きく伸びていたが、今事務年度においては2年目ということで単純・軽微な誤りが減ったのではないかとしている。なお、簡易な接触の申告漏れ等の非違及び回答があった件数は5,878件(前事務年度6,995件)で、申告漏れ課税価格は443億円(同517億円)であった。

無申告事案に対する調査状況をみると、実地調査件数は1,380件(前事務年度1,216件)で、このうち課税価格が1億円以下の調査件数(是認含む)は1,027件と、調査件数の大半を占めている。また、非違件数は1,232件(同1,025件)で、追徴税額の総額は101億円(同88億円)となった。非違件数及び追徴税額の総額は平成17事務年度以降で最多となっており、実地調査の件数も同年以降で2番目に多い結果となった。