- 令和元年度における審査請求は2,559件(対前年度比▲17.6%)と前年度より減少。
- 再調査の請求は1,359件で、平成元年度以降最少の件数。
- 訴訟の発生件数は、8年ぶりに増加に転じる。国側の敗訴割合は9.7%。
国税庁は6月19日、令和元年度(平成31年4月1日~令和2年3月31日)における再調査の請求・審査請求・訴訟の概要を公表した。
審査請求の概要によると、審査請求の件数は2,559件で、前年度の3,104件より17.6%減少したことが分かった。審判所は、源泉所得税等を除いたほぼ全ての税目で件数が減少したことに伴って、前年度と比較して審査請求の件数が減少したとしている。また、審査請求の処理件数は2,846件で、前年度(2,923件)より2.6%の減少となった。そのうち納税者の主張を受け入れた認容件数は375件(一部認容285件、全部認容90件)で、その割合は13.2%と前年度より5.8ポイント増加した。税目別の認容件数で最も多いのは消費税等の142件で、最も少なかったのは印紙税の2件であった。
再調査の請求(改正前の異議申立て)を経ずに直接審査請求を行ったのは1,599件で、前年度(1,958件)より18.3%減少。再調査の請求の件数も1,359件で前年度(2,043件)より33.5%減少している。令和元年度における直接審査請求の割合は62.5%と、今年度は再調査の請求よりも直接審査請求を選択する人が多かった。審判所によると、再調査の請求の件数は、平成28年度以降に大きく減少しているが、再調査の請求と直接審査請求を合計した一次的な不服申立ての件数で比較すれば、平成27年度と比べても大きな増減は見られないとしている。また、再調査の請求の処理件数は1,513件となっており、このうち認容件数は187件(一部認容141件、全部認容46件)で、その割合は12.4%と、認容割合は前年並みの水準で推移している。なお、再調査の請求の発生件数及び処理件数は平成元年度の統計以降過去最少の件数となっているが、国税庁によると、個別の事案の積み重ねによるものであるとしている。
訴訟の発生件数は223件(対前年度比+23.2%)と8年ぶりに増加に転じた。審級別で見ると、一審117件、控訴審67件、上告審39件だった。終結件数は216件で、このうち国側が敗訴した件数は21件(一部敗訴5件、全部敗訴16件)で、その割合は9.7%(一部敗訴2.3%、全部敗訴7.4%)だった。敗訴件数21件の税目は、所得税が8件、法人税が8件、相続・贈与税が2件、徴収が2件となっている。