- 国税庁が電帳法通達及びQ&Aを公表。検索要件の「日付、金額、取引先」の検索方法として「ファイル名に直接項目を入力」、「エクセルによる索引簿作成」認める。
既報のとおり、改正電子帳簿保存法(以下、電帳法)では、電子取引(Eメールによる請求書等のPDFの授受も含む)を行った場合には、電子データでの保存が義務付けられ、申告所得税、法人税については、検索要件を含む諸要件が満たせない場合には紙保存に“逃げる”という代替手段が廃止された。検索要件については、国税庁等職員の質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じる場合には一部の要件が不要とされるなど緩和されたが、その求めに応じる場合であっても、「日付、金額、取引先」により検索できる状態で電子データを保存しなくてはならない(判定期間の売上高が1,000万円以下の場合を除く)。企業からは、令和4年1月の適用開始までにシステム対応等が時間的・予算的に困難などの懸念から、税務当局からの詳細な説明や“柔軟な運用”を求める声が挙がっていた(本誌884号11頁)。
そのような中、令和3年7月16日、「電子帳簿保存法取扱通達」(以下、電帳法通達)及びQ&A(一問一答)が、国税庁HPに公表され、検索要件について、「システム上検索機能を有している場合」以外の方法として次の二つの方法が認められることになった(電帳法通達4−12)。
(1)電磁的記録のファイル名に、規則性を有して記録項目を入力することにより電子的に検索できる状態にしておく方法
(2)当該電磁的記録を検索するために別途、(エクセル等により)索引簿等を作成し、当該索引簿を用いて電子的に検索できる状態にしておく方法
また、企業の間では、「災害その他やむを得ない事情がある場合には改正後の保存要件を満たせなくても保存ができる」との宥恕規定の解釈で凌ぐとの意見もあるようだが、電帳法通達4−37によれば、「災害その他やむを得ない事情」を証明することのハードルは従来同様かなり高い(消費税法基本通達8−1−4、11−2−22と同様)ので注意が必要だ。電磁的記録の保存に代えて書面出力を行っていた場合には、保存すべき電磁的記録の保存がなかったものとして、青色申告の承認取消の対象となり得る(Q&A問42)。違反の程度等を総合勘案の上、取消しの是非を判断するとのことだが、今回示された方法を含め可能な対応を検討すべきだろう。なお、消費税については、改正後も引き続き、出力した書面による保存が可能である(Q&A問21)。