- 電子データ保存を2年間宥恕する電帳法施行規則、通達及びQ&Aが公表。システム構築の遅れも「やむを得ない事情」に該当。
- 税務署への事前申請手続は不要。調査では対応状況等の説明が求められる可能性も、具体性までは問わず。
既報の通り、改正電子帳簿保存法(以下、電帳法)に対応するシステムの構築・稼働が同法の施行に間に合わないとの企業の声を踏まえ、同法施行日の2022年1月1日から2年間、「やむを得ない事情」がある場合には、従前と同様、出力書面による保存を可能とする旨の宥恕規定が設けられる方向となっていたが、12月27日、当該宥恕規定(同法施行規則4条3項)が公布され、翌28日には国税庁より関係通達及びQ&Aが公表された。
読み替え規定として措置された施行規則4条3項では、従来からの宥恕要件である「災害その他やむを得ない事情」に加え、「……納税地等の所轄税務署長が当該財務省令で定めるところに従って当該電磁的記録の保存をすることができなかったことについてやむを得ない事情があると認め……」た場合も、同規定の対象とされた。
企業からは「やむを得ない事情」の具体的な内容に関心が集まっていたが、通達によると、「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に係るシステム等や社内でのワークフローの整備未済等、保存要件に従って電磁的記録の保存を行うための準備を整えることが困難であること」とされ(電帳法取扱通達7−10)、この場合、出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存を行っているものと取り扱われる(同7−11)ことになる(解説も同旨)。要するにシステムの構築が間に合わなかったことなどを指しており、特段の目新しさはない。
Q&Aでは、910号6頁で既報のとおり「税務署への事前申請等の手続は必要ない」ことが明記されており(問41−3、41−5)、一部新聞報道にあった「宥恕規定の適用にあたって税務署への事前手続きが必要」との情報が誤りであることが改めて裏付けられた。
税務調査での対応については、「税務職員から確認等があった場合には、各事業者における対応状況や今後の見通しなどを、具体的でなくても結構ですので適宜お知らせいただければ差し支えありません。」と、柔軟な執行方針が示されている(問41−2の(参考)参照)。
なお、宥恕措置の適用期限までに電子データ保存が可能となった場合でも、出力書面の保存に代えることが認められる(問41−3)。