- 国税庁は「全国国税局調査査察部長会議」、「全国国税局徴収部長会議」を開催。
- 調査課所管法人の実地調査の約3割でウェブ会議システム等を利用。今後も活用の方針。
- 導入延期となっていたスマホアプリ納付は、令和4年12月に導入予定。
国税庁は、5月19・20日に「全国国税局調査査察部長会議」、5月25・26日に「全国国税局徴収部長会議」をそれぞれ開催した。
調査部では、新型コロナの感染状況を踏まえて、前事務年度に引き続き、対面を抑制した手法を取り入れて調査を行っていたことを明らかにした。新型コロナに対する危機感には地域差があり、対面での調査に抵抗感を持つ納税者もいることから、実地調査全体(約1,000件)の3割程度で、ウェブ会議システム等も利用して調査を行っていたとした。各局からは、調査を効率的に実施できたという声も上がっていることから、今後も活用する方針を示している。
査察部では、調査パフォーマンスの向上に向けた取組として、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)に基づいて警察庁から送られてくる、疑わしい取引の届出情報の効果的な活用について、庁から説明がなされた。令和2年分においては、約40万件の膨大な情報を受け取っているが、脱税につながる情報の他に、査察とは無関係の情報も含まれているため、それらの見極めをどのように行っていくか検討していくとした。
徴収部については、新型コロナの影響で滞納額が増加に転じたことを受けて、来事務年度以降どのように滞納残高を減らしていくか意見交換を行った。これまでは特例猶予や納税猶予への対応を中心に行ってきたが、特例猶予の期限も到来し、現在では新型コロナの感染状況も落ち着いているため、今後は滞納整理を中心に行っていくとした。あわせて、滞納整理を進めるためにも、徴収コールセンターの機能を強化する方針も示している。
また、キャッシュレス納付の利用拡大等に向けた取組については、導入を延期していたスマホアプリ納付が今年(令和4年)12月に導入予定であることを明らかにした上で、来年の確定申告の会場などで納税者に体験してもらい、今後の利用に繋げていきたいとした。このほか、パソコンでのみ可能であった電子納税証明書のPDF発行が、今年の9月からスマホでも提供が開始されるとして、納付割合向上のためにもスマホ関連の取組を充実させていくとしている。