- 令和4年分の路線価、全国平均路線価は「+0.5%」と2年ぶりに上昇に転じる。
- 新型コロナの影響を踏まえて、令和2、3年分では路線価の補正が検討されたが、令和4年分の路線価補正については、一律対応の予定なし。
国税庁は7月1日、令和4年分の路線価等をホームページ上で公表した。令和4年分の平均路線価(標準宅地の評価基準額)は2年ぶりに上昇し、「+0.5%」であった。東京・大阪・名古屋の三大都市圏の平均を見ると、全用途平均・住宅地はいずれも2年ぶりに上昇に転じており、商業地は東京、名古屋は上昇、大阪では横ばいに転じている。地方圏においては地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では全用途平均・住宅地・商業地のいずれも上昇率は拡大しており、その他の地域ではいずれも下落傾向にあるものの、その下落幅は縮小している。路線価は地価公示の80%程度を目途に算定しており、令和4年分の地価公示価格においては、新型コロナの影響が緩和されたことで2年ぶりに上昇に転じていたことから、路線価も同様に上昇したと言えよう。
平均路線価の状況を都道府県別でみると、上昇した都道府県の数は20(前年は7)で、下落した都道府県の数は27(前年は39)であった。最も上昇率が高かったのは、北海道の「+4.0%」であった一方、下落率が最も高かったのは、和歌山県の「▲1.3%」となっている。
都道府県庁所在都市の最高路線価について見てみると、上昇した都市は15都市(前年は8)、横ばいの都市は16都市(同17)、下落した都市は16都市(同22)であった。上昇率が最も高かったのは千葉県(+5.1%)で、ここ数年で駅前の再開発を行っている影響であるとしている。下落した16都市のうち最も下落率が高かったのは神戸市(▲5.8%)で、新型コロナの影響により、三宮センター街周辺の人通りが減少していることなどが影響しているとした。
全国で路線価が最も高かったのは「東京都中央区銀座5丁目」(鳩居堂前を含む4地点)であった。1㎡当たりの路線価は「4,224万円」であり、昭和61年分以降37年連続で最高となったものの、変動率に関しては2年連続で下落(▲1.1%)している。
国税庁は、令和2、3年分の路線価に関しては新型コロナの影響を踏まえ、年の途中で大幅に地価下落が見られた場合には路線価の補正を検討することとしていたが、令和4年分においては一律に路線価の補正を検討することはないという。