- 令和4年度の査察事績、検察庁に告発した件数は103件、脱税総額は約100億円。
- 重点事案である消費税事案では34件を告発し、このうち不正受還付事案は16件といずれも平成13年度以降2番目に高い件数。
国税庁が6月14日に公表した「令和4年度 査察の概要」によると、検察庁に告発した件数は103件、脱税総額は100億円にのぼることが分かった。
重点事案として取り組んだ消費税事案は34件を告発し、このうち仕入税額控除制度や輸出免税制度を悪用した不正受還付事案は16件で、ともに告発件数のカウントを開始した平成13年度以降、2番目に高い件数となった。未遂の還付額を含む不正受還付額は13億4,700万円と、公表を開始した平成26年度以降、2番目に高額となっている。国税庁は増加した一因について、新型コロナの影響が緩和したことや、消費税事案に対して積極的に取り組んだ結果であるとしている。告発事案としては、パワーストーンの仕入れがあったように装った複数の法人が、架空の課税仕入れ及び輸出免税売上げを計上した未遂事案(未遂犯として告発)などがあった。
また、無申告事案では15件を告発。このうち、故意に申告書を提出しないで税を免れた単純無申告ほ脱犯を適用した事案は6件であった。
このほか、近年人気が高まっているトレーディングカードについて、カードの小売を目的とする店舗を全国に展開している法人が、取引事実のない虚偽の領収書等を作成して、架空の仕入れ高を計上する方法によって所得を秘匿し、法人税を免れていた事案もあった。
なお、令和4年度中に一審判決が言い渡された事件は61件あり、その有罪率は100%であった。このうち3人に実刑判決が出されており、査察事件単独に係るものでは懲役1年4月、他の犯罪と併合されたものでは懲役2年8月が最も重かった。他人名義で外国為替証拠金取引(FX)を行うことにより所得を隠匿し、確定申告書を提出しなかったことで所得税を免れた者(無申告ほ脱犯の再犯者)に懲役1年4月の実刑判決が出ている。