- 国税庁、「税務行政の将来像2.0」を改定。納税者の利便性向上、課税・徴収事務の効率化・高度化とあわせて、事業者のデジタル化推進にも取り組む。
- 納税者利便の向上策として、令和6年2月以降順次、給与情報等の自動入力を実現。
国税庁は6月23日、「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション−税務行政の将来像 2023−」を公表した。これは、令和3年6月に公表した「税務行政の将来像2.0」を改定したもの。同庁によると、改定前から取り組んできた「納税者の利便の向上」と「課税・徴収事務の効率化・高度化」の2本の柱に加えて、新たに「事業者のデジタル化促進」についても取り組むこととしている。
国税庁では、「税務手続きのデジタル化」として、e-Taxの利用やマイナポータル連携などの、申告・納税に係るデジタル化を推進してきたが、現状の施策は事業者にとってデジタル化のメリットが限定的であるとしている。政府が令和5年6月9日に閣議決定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、事業者の取引全体のデジタル化、会計・経理全体のデジタル化等を推進することが重要課題の一つであると位置づけられたことを踏まえ、同庁では、日頃行う事務処理の一貫したデジタル化を進めていくとした。例えば、受発注・納品・請求から記帳、決算書の作成など、経済取引に関連するものや、バックオフィスで処理するものについて、一貫してデジタル処理できる環境を整備するとしている。一連の流れがデジタル化することにより、単純誤りが防止されて正確性の向上に繋がることや、事務の効率化による生産性の向上に繋がるなど、事業者は大きなメリットを受けることが期待できるとした。
また、「納税者の利便性の向上」について、日常的に使い慣れたデジタルツール(スマホ、タブレット端末、パソコン等)から簡単・便利に手続きを行うことができる環境の構築を目指すとしている。
例えば、申告手続きの簡便化として、令和6年2月以降、給与所得の源泉徴収票の自動入力を順次実現させるとしている。現在、確定申告の際に自動入力される情報には生命保険や住宅ローン控除関係、医療費などが対象となっているが、電子申告の利用者の過半数は給与所得者であることから、確定申告に必要なデータ(給与や年金の収入金額、医療費の支払額など)を自動で取り込むことにより数回のクリック・タップで申告が完了する仕組みを実現させる予定だ。