- 労働者派遣事業を営む請求人が取引先において労務に従事した者に対して支払った金員が外注費又は給与等のどちらに該当するか争われた裁決(関裁(諸)令4第27号)。
- 審判所、外注費は業務内容等から外注者と請求人との間での雇用契約に基づき各外注者から提供された非独立的な労務の対価であり、給与等に該当すると判断。
本件は、労働者派遣事業を営む請求人が取引先において労務に従事した者に対して支払った外注費について、原処分庁が給与等に該当し課税仕入れに係る支払対価の額には該当しないとして消費税等の更正処分等を行ったことに対し、その全部の取消しを求めた事案である。請求人は、各外注者については、場所及び始業時間の定めはあるが、終業時間の定めは目安でしかなく、各取引先の定める業務の達成をもって終業としていたことから給与等には該当しないなどと主張した。
審判所は、給与所得(所法28条①)とは雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供した非独立的な労務の対価として受ける給付をいい、非独立的な労務であるか否かは使用者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受けているか、労務又は役務の内容等について使用者の指揮命令に服しているかなどを考慮して総合的に判断すべきとの見解を示した。その上で審判所は、業務内容説明書には各外注者の作業場所、始業時間、終業時間及び休憩時間が定められており、請求人は各取引先から送付されるタイムカードの写し等により各外注者の勤怠管理を行っていたことなどに照らすと、各外注者は、労務の提供に当たり空間的、時間的な拘束を受けていたと認められると指摘。また、作業内容が業務内容説明書に定められており、実際に請求人の取引先が求める労務に従事していたこと、及び各外注者は第三者への労務の委託が認められていなかったことからすれば、各外注者は、労務の内容及び提供の方法について、請求人又は取引先の指揮命令に服していたと認められるとした。したがって、各外注費は、各外注者と請求人との間での雇用契約に基づき各外注者から提供された非独立的な労務の対価であり、給与等に該当すると認められ、課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないとの判断を示した。
なお、請求人が、各外注者は各取引先の定める業務を達成すれば終業としていたなどと主張した点については、各外注費稼働時間に時給を乗じることにより算出されていた以上、各外注費が給与等に該当することを否定することはできないとした。