- 小規模住宅用地の特例の適用がなく、固定資産税等を過剰に納付したと主張する原告らが、還付不能額等の支払いを求めた事件。
- 裁判所、原告らが取得した土地は建物の底地である隣地と一体として利用されているとはいえず、小規模住宅用地の特例上の住宅用地に該当しないと判断。原告の請求を棄却。
本件は、住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税の特例(以下「小規模住宅用地の特例」)(地方税法349条の3の2、702条の3)の適用がなく、土地の所有者である原告らが固定資産税等を過剰に納付させられたとして、東京都(被告)に対して還付不能額等の支払いを求めたもの。なお、小規模住宅用地の特例とは、住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分については、固定資産税の課税標準を6分の1、都市計画税の課税標準を3分の1に減額するというものである。
本件土地については、もともと一筆の土地であったが、平成8年以降に土地と隣地に分筆されており、原告は平成11年に隣地と隣地上の住宅を取得し、平成14年に隣地の西側に隣接する本件土地を取得した。原告は、本件土地を取得以降、花を植え、木を伐採するなど、庭として管理していると主張。また、土地と隣地の間には、花のつるを絡ませるための柵やブロック塀などはあるが、人が横向きになればその間を行き来することは容易であるなどと主張し、本件土地は、隣地の庭であって一体的に利用されているものであるから、隣地の一画地として小規模住宅用地と認定して課税すべきであるとした。
裁判所は、本件土地及び隣地は、原告が取得した平成14年の時点ですでにそれぞれ一筆の土地であったこと、土地と隣地との間には柵及びブロック塀が設置されており、通路は存在しないことが認められると指摘。その上で、本件土地は各賦課処分の時点において、登記簿上、隣地とは異なる筆の土地であり、かつ、その形状や具体的な利用状況から見ても、ブロック塀や柵によって隣地から明確に区分されていることから、本件土地は建物の底地である隣地と一体として利用されているとはいえず、小規模住宅用地の特例上の住宅用地には該当しないとの判断を示した。
したがって裁判所は、都税事務所が賦課処分に当たり、本件土地を小規模住宅用地の特例上の住宅用地として認定しなかったことについて違法であるとはいえないとし、原告の請求を棄却した(東京地裁令和5年1月19日判決、令和3年(ワ)第34014号)。