• グループ通算制度の連帯納付義務により、個別の通算法人が利子税の支払いを完了するまでは、当該グループについては納税証明書(その3)が発行されず。
  • 企業からは「グループ内の一社でも利子税の支払い漏れがあっただけで納税証明書が発行されないというのはさすがに酷」との声。

税務署等は、国税に関する事項のうち納付すべき税額等についての証明書(納税証明書)の交付を請求する者があるときは、その者に関するものに限り、これを交付しなければならない(通則法123①)。納税証明書にはいくつか類型があり、未納の税額がないことを証明するものもある(通則令41①一)。国税庁WEBサイトでいうところの「納税証明書(その3)」がこれに該当する。

納税証明書は工事の入札等の際に必要な書類であり、当然ながら企業としては税務署等からタイムリーな取得を望むが、グループ通算制度適用企業においては、利子税との関係で、納税証明書(その3)の取得に手間がかかっているとの指摘がある。

グループ通算制度においては、連結納税と異なり、個別の通算法人が法人税の申告・納付の義務を負うとされ(法法74、77)、申告期限は原則として事業年度終了から2か月以内となっているが、2か月の延長が認められている(法法75の2⑪)。もっとも、延長した分に対応する利子税を支払う必要はあるため(法法75の2⑧)、利子税の額が生じない(又は過大とならない)ようにする等の目的で、企業は事業年度終了から2か月以内等に法人税の見込納付を行うことがある。

しかし、グループ通算制度においては、損益通算や欠損金の通算、その他、各種のグループ調整計算があることから、個別の通算法人が支払うべき確定納付額が見込納付額より大きく変動する場合がある。「確定納付額>見込納付額」となるケースでは、確定納付の段階で差額分について結局利子税が生じてしまう。その上で、グループ通算制度においては連帯納付義務があるため(法法152①)、個別の通算法人が利子税の支払いを完了するまでは、グループ全体として「未納の税額がない」ことを証明できないとされ、当該グループについては納税証明書(その3)が発行されないこととなるようだ。

企業からは、「法人税の本税が未納の場合はともかく、グループ内の一社でも利子税の支払い漏れがあっただけで納税証明書が発行されないというのはさすがに酷」といった声が上がっている。