• 令和5年分確定申告、インボイス制度の開始に伴い、個人事業者の消費税の申告件数が197万2千件と大幅に増加。
  • 自宅からe-Taxで申告した人数は690万5千人で、所得税等の確定申告人員(2,324万人)の約3割。
  • 贈与税の申告納税額は3,548億円。基礎控除が110万円となった現行制度下では過去最高。

国税庁が5月31日に公表した「令和5年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」によると、令和5年10月からインボイス制度が開始されたことに伴い、個人事業者の消費税の申告件数は、197万2千件(対前年比+86.9%)と前年分(105万5千件)から大きく増加したことが明らかとなった。申告納税額も増加し、6,850億円(同+9.1%)となっている。

また、令和5年中にインボイス発行事業者になったのは197万6千人で、このうち、期限内申告を行った人数は174万4千人であった。国税庁によると、期限内申告の人数が全体の9割程度であった理由として、インボイス発行事業者の中には令和5年中に課税資産の譲渡等がなく、消費税の申告義務がない人も含まれている点を挙げている。基本的に消費税の申告義務があると考えられる人の期限内申告の割合は約94%(例年は約85〜95%)であったため、申告は着実に行われたとしている。

令和5年分の所得税等の確定申告書の申告人員は2,324万人(対前年比+1.3%)で、所得金額は49兆5,574億円(同+7.0%)、申告納税額は4兆499億円(同+10.0%)であった。納税者本人が自宅からe-Taxを利用して申告した人数は690万5千人(同+16.7%)で、所得税等の確定申告人員(2,324万人)の約3割を占めた。このうち、スマホ申告を利用したのは316万2千人(同+27.0%)で、自宅からe-Taxで申告した人の約半数がスマホを利用していた。また、自宅からe-Taxを利用して申告した人(690万5千人)のうち、マイナンバーカードを利用した人は485万1千人と、約7割に上っている。なお、マイナポータル連携により、控除証明書等を取得した人は190万9千人(同+45.0%)となっており、国税庁は、令和5年分から給与所得の源泉徴収票、国民年金基金掛金などが連携の対象となったことが増加の要因であるとした。

そのほか、贈与税の申告人員は51万人(同+2.6%)で、申告納税額は3,548億円(同+10.9%)となっている。贈与税の申告納税額については、基礎控除が110万円となった現行制度に移行した平成13年以降で過去最高を記録した。