• 中小企業倒産防止共済を任意解除した場合、解除後2年間は再加入しても掛金の損金算入は不可。令和6年10月1日以後に解除した場合に適用。

中小企業倒産防止法の共済契約による節税策に一定の歯止めがかかりそうだ。令和6年度税制改正では、中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済事業に係る措置について、中小企業倒産防止共済法の共済契約の解除があった後、同法の共済契約を再び締結した場合は、その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する共済契約に係る掛金については、損金又は必要経費に算入できないこととされた(下図参照)。この改正は、締結していた共済契約につき令和6年10月1日以後に解除があった場合に適用されることになる。

中小企業倒産防止共済とは、取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になった場合には、倒産した事業者との取引の確認が済めば、無担保・無保証人で借り入れができるというもの(積み立てた掛金総額の10倍の範囲内(最高8,000万円))。掛金は法人の場合は損金、個人事業主の場合は事業所得の必要経費に算入することができる。

中小企業倒産防止共済は、中小企業や個人事業主にとっては、もしもの時のセーフティネットとなっているが、昨今では、共済契約に加入してから3、4年目に任意解除(解約)する件数が全体の約33%にものぼっている。解約手当金の支給率が加入から40か月目には100%となるからだ。解約手当金については、益金若しくは事業所得の扱いとなり課税対象となるが、任意解除した事業年度に退職金の支払いや設備投資の予定があれば、これらと相殺することが可能。共済契約を任意解除後、すぐに再加入することでさらに税制上のメリットを享受することができるとされている。

このため、令和6年度税制改正では、共済契約を任意解除した場合には、再加入はできるものの、掛金の損金算入等は2年間認めないこととしたものだ。

(情報提供:株式会社ロータス21)