• 令和5年度の再調査の請求、発生件数は2,494件と前年度(1,533件)から大きく増加。新型コロナの収束のほか、消費税等で1人が数百件の処分について再調査の請求をしたことが増加の1つの要因。
  • 審査請求の件数は3,917件で、過去10年間で最多。このうち直接審査請求の件数は2,574件と過去最高を更新。

国税庁と国税不服審判所は6月21日、令和5年度における再調査の請求、訴訟の概要並びに審査請求の概要をそれぞれ公表した。再調査の請求の概要をみると、発生件数は2,494件(対前年度比+62.7%)と、前年度から大きく増加した。国税庁は、納税者の動向に左右されるとした上で、新型コロナが収束して経済活動が活発になったほか、発生件数を事件ごとではなく処分(税目・年分)ごとにカウントするため、1人が数百件の請求を行った場合は件数が増加するとした。令和5年度分においては、期間特例などで処分が毎月となる消費税等で、1人が200件近い処分について請求を行ったことなどが要因の1つとなり、発生件数を押し上げているとみられている。処理件数は2,278件(同+66.2%)で、このうち納税者の請求が何らかの形で受け入れられた認容件数は149件(一部認容140件、全部認容9件)だった。認容割合は6.5%と、過去10年間で2番目に低い割合となった。

審査請求ついては、発生件数は3,917件と前年度から29.1%増加し、過去10年間で最多となった。なお、平成以降で見ても、平成2年度分(4,135件)に次いで2番目に多い発生件数であった。また、処理件数は2,873件(対前年度比▲9.1%)と前年より減少し、このうち認容件数は279件(一部認容139件、全部認容140件)で、認容割合は9.7%であった。なお、審査請求のうち、再調査の請求を経ずに直接審査請求を行った件数は2,574件(同+16.1%)と、過去最高を更新している。発生件数に占める直接審査請求の割合は65.7%であった。

訴訟については、発生件数189件(対前年度比+9.2%)のうち、第一審の発生件数は105件となっている。終結件数は172件で、このうち国側が敗訴したものは13件(一部敗訴8件、全部敗訴5件)だった。国側の敗訴割合は7.6%となっている。国税庁によると、敗訴件数の税目別・審級別では、地裁11件(所得税2件、法人税6件、相続税1件、贈与税1件、消費税1件)、高裁2件(所得税1件、印紙税1件)であるとした。なお、国側が敗訴した13件のうち6件が上訴され上級審で係属中となっている(控訴審4件、上告審2件)。

(情報提供:株式会社ロータス21)