• 審判所、市街化調整区域のうち、都市計画法34条12号の開発行為の対象となる宅地は、仮に宅地分譲に係る開発行為が可能な区域にあったとしても、財産評価基本通達20−2に定める「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできず(令和6年3月6日裁決)。

本件は、市街化調整区域内に所在する宅地について、財産評価基本通達20−2(以下、本件通達)に規定する「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することができるか否かが争われたもの。請求人らは、相続等により取得した各土地は、市街化調整区域のうち、都市計画法34条12号の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域(12号区域)に所在し、宅地の分割分譲が可能であって、分割分譲に伴う減価が発生するため、本件通達に準じて評価することができると主張した。

審判所は、市街化調整区域内に所在する宅地は、原則として「地積規模の大きな宅地」(評基通20−2)から除かれているが、市街化調整区域は、原則として宅地開発を行うことができない地域であることから、戸建住宅用地としての分割分譲に伴う減価が発生することが想定されていないため、「戸建住宅用地としての分割分譲が可能であり、かつ、戸建住宅用地として利用されるのが標準的である地域に所在する宅地」を対象とする本件通達は原則として適用できないとする趣旨のものであるとした。

しかし、本件通達は、市街化調整区域に所在する宅地であっても、10号区域又は11号区域に所在する宅地に限り、「地積規模の大きな宅地」に含まれるものとして適用対象としているが、この点について審判所は、市街化調整区域内であっても、10号区域又は11号区域は、都市計画法34条10号又は同条11号の規定により、戸建住宅用地としての分割分譲が法的に可能であり、戸建住宅用地として利用されるのが標準的である地域といえるため、これらの区域に所在する宅地を、本件通達の適用対象の範囲に含むこととしたものと解されるとした。一方、都市計画法34条12号に相当する開発行為については、分家に伴う住宅、収用対象事業の施行による移転等による建築物などの用に供するものが予定されており、同号に基づく開発行為の対象となる宅地は、仮に宅地分譲に係る開発行為が可能であったとしても、本件通達の適用対象とする範囲に含むべきものではないとした。したがって、審判所は、各土地を「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできないと判断し、請求人らの請求を棄却した。