- 平成26年度の国側敗訴割合は「6.8%」。前年度より0.5ポイント減少も例年並みの水準。
- 法人税事案で国側敗訴が目立つ。敗訴件数19件のうち、法人税事案が12件を占める。
- 国側が敗訴した法人税事案のなかには、本誌が速報したIBM事件やホンダ事件、役員退職金の損金算入に関する注目事件も。
国税庁が6月17日に公表した「平成26年度における訴訟の概要」によると、平成26年度の国側敗訴割合は6.8%(前年度比-0.5ポイント)であったことが明らかとなった。過去5年間の敗訴割合(表参照)をみると、国側が多数の納税者に敗訴した米国LPS訴訟の影響が色濃くでている平成23年度の数値を除けば、平成26年度の国側敗訴割合は例年並みの水準ということができるだろう。
国側敗訴事案を件数でみると、平成26年度における税務訴訟の終結件数280件のうち、国側の一部敗訴は6件、全部敗訴は13件であった。
敗訴件数の税目別の内訳に関し取材を行ったところ、法人税事案での国側敗訴件数が際立っていることが判明している。
具体的にみると、一部敗訴(全6件)の税目別内訳は、所得税2件、法人税3件、相続税1件。全部敗訴(全13件)の税目別内訳は、所得税1件、法人税9件、相続税1件、徴収関係2件であった。
国側が敗訴した法人税事案のなかには、同族会社の行為計算否認規定の適用が問題となったIBM事件、移転価格税制をめぐるホンダ事件、タックスヘイブン対策税制における「主たる事業」の判定方法が問題となった事件、分掌変更により分割支給された役員退職金の損金算入が認められた事件が含まれていることが確認されている。
なお、国側の敗訴件数を審級別でみると、第1審12件、控訴審6件、上告審1件であった。この上告審1件は、延滞税をめぐり納税者が最高裁で逆転勝訴した事件だ。国税庁は、この最高裁判決を受けて、延滞税の取扱いを変更している。