- 政府税制調査会が今年最初となる総会を開催。個人所得課税の見直しに向けた検討に着手。
- 政府税調が既に改革案を提示した配偶者控除だけでなく、各種所得控除に関し見直しを求める意見が相次ぐ。
- 中里会長、来年半ばの中期答申を見据え、今年の秋に中間取りまとめ(論点整理)を打ち出す方針。
政府税制調査会(会長・中里実東京大学大学院教授)は7月2日、今年最初となる総会を開催した。
今回の総会は、今年6月30日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015(骨太の方針)」のなかで、「経済社会の構造変化を踏まえた税制の構造的な見直しを計画期間中のできるだけ早期に行うこととし、政府税制調査会を中心に具体的な制度設計の検討に速やかに着手する」と明記されたことを受けて開催されたものだ。
骨太の方針では、税制の構造改革について、①低所得若年層・子育て世代の活力維持と格差の固定化防止のための見直し、②働き方・稼ぎ方への中立性・公平性の確保、③世代間・世代内の公平の確保などを基本方針としたうえで、今後の改革の中心となる個人所得課税については、税収中立の考え方を基本として、総合的かつ一体的に税負担構造の見直しを行うと明記された。
7月2日に開催された総会のなかで中里会長は、個人所得課税の見直しについて、2016年半ばの中期答申(中長期的な視点にたった税制の在り方に関する答申)を取りまとめるため、骨太の方針を踏まえながら政府税調で検討する方針を示した。個人所得課税の見直しのうち配偶者控除に関し政府税調は、その見直しの方向性として、5つの改革案(配偶者控除の代わりに夫婦世帯を対象とする新たな所得控除を創設する案など)を提示している。今回の総会では、配偶者控除以外の所得控除に関しても、見直しが必要であるという発言が出席委員から相次いだ。
具体的にみると、大田弘子委員(政策研究大学院大学教授)は、「所得控除をゼロベースで見直す必要がある」と発言。また、佐藤主光委員(一橋大学大学院教授)は、「税率の構造の見直しの前に所得控除の再構築が必要」という認識を示した。
総会後の記者会見で中里会長は、「配偶者控除にとどまらず、幅広くさまざまなことを議論しながら所得税の負担構造の在り方を考えていきたい」と話したうえで、来年半ばの中期答申を見据え、今年の秋に中間取りまとめ(論点整理)を打ち出す方針を示した。