- 商業登記規則等の一部を改正する省令案が公表。登記すべき事項について株主総会の決議を要する場合には、上位10名等の株主リストの添付を義務付けへ。
- 平成28年10月頃の施行予定。中小企業は株主リストの整備が必要。
株主総会決議を登記する際には、株主リストの添付が求められることになりそうだ。法務省は1月29日、商業登記規則等の一部を改正する省令案を公表し、2月28日まで意見募集を開始した。
今回の改正は、株主総会議事録等を偽造して役員になりすまし、役員の変更登記又は本人の承諾のない取締役の就任の登記申請を行った上で会社の財産を処分するなど、商業・法人登記を悪用した犯罪や違法行為が散見されていることなどを踏まえたものである。
省令案によると、登記すべき事項について株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には、申請書に総株主の議決権の数に対するその有する議決権の数の割合が高い上位の10名又は有する議決権の数の割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が3分の2に達するまでの人数のうち、いずれか少ない人数の株主の①氏名又は名称、②住所、③当該株主のそれぞれが有する株式の数及び議決権の数、④当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面の添付を求めている(改正商業登記規則(案)61条3項)。
また、登記すべき事項について、総株主又は種類株主全員の同意を要する場合には、株主すべて又は種類株主すべての①氏名又は名称、②住所、③株式の数、④議決権の数を証する書類が義務付けられることになる(改正商業登記規則(案)61条2項)。
法務省では、株式会社の主要株主等の情報を商業登記所に提出することにより、事実でない株主総会議事録が作成され登記されることを防ぐことができるほか、関係者が事後的に株主総会決議の効力を訴訟等で争う場合等においても有益になるとしている。ただ、中小企業の中には、株主リストの管理をしていないケースもあり、一刻も早い整備が必要になりそうだ。
そのほか、附属書類の閲覧請求の規定も整備している(改正商業登記規則(案)21条)。附属書類の閲覧の申請人に対して、申請人の住所及び閲覧する部分の記載を求めるとともに、利害関係を証する書面の添付を求めることとされている。
なお、施行は平成28年10月頃が予定されている。