- 29年度改正、「持分なし医療法人」へ移行する際の出資持分放棄による経済的利益について、移行計画の認定を受けた法人に対する贈与税課税(相法66④)が非課税に。
- 非課税は医療法改正が前提。改正で移行計画の認定要件が“かさ上げ”される方向も、相令33③の非課税基準よりは緩和される可能性。
平成18年医療法改正により「持分あり医療法人」の新設は認められなくなり、旧法の「持分あり医療法人」は「経過措置型医療法人」としていずれは「持分なし医療法人」への移行を迫られる(当面は猶予)。
「持分なし医療法人」への移行を支援するために平成26年度税制改正では、「医療継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置」が創設された。これは、「持分なし医療法人」への移行計画について厚労大臣の認定を受けた「持分あり医療法人」(認定医療法人)が「持分なし医療法人」へ移行する期間に発生する相続税・贈与税を猶予し、移行後にその猶予税額を免除するというものだ。
この特例措置について平成29年度税制改正では、適用期限が3年間延長されるとともに、「持分なし医療法人」へ移行する際の出資持分放棄による経済的利益に対する認定医療法人への贈与税課税(相法66④)を非課税とする改正が実施されることになった。ただし、贈与税課税の非課税措置は、持分なし医療法人へ移行した日以後6年を経過する日までに移行計画の認定要件に該当しないこととなった場合は取り消されることになる(贈与税が課税される)。
いずれの改正内容も、認定医療法人の移行計画の認定要件などを規定した「平成18年医療法等改正法」の改正が前提とされているが、その改正の方向性が明らかとなった。取材によると、改正により移行計画の認定要件が“かさ上げ”される(厳しくなる)が、現在の贈与税課税(相法66④)の非課税基準である相続税法施行令33条3項が規定する要件(同族親族等関係者が役員等の総数の3分の1以下など)よりはハードルが低くなる可能性がある。
来年の通常国会に提出される見込みの平成18年医療法等改正法の改正案は、移行計画の新たな認定要件が盛り込まれるほか、持分なし医療法人への移行計画の認定期間(平成29年9月30日まで)の延長が盛り込まれる方向。移行計画の新たな認定要件は「医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置」の使いやすさに大きな影響を与えるだけに、その内容に大きな注目が集まりそうだ。