• 東京都が行った第二次納税義務の通知処分をめぐり、同処分が理由の提示(行政手続法14①)を欠くものとして違法であるか否かが争われた事件で、納税者側が敗訴(東京地裁平成28年12月20日判決)。
  • 地方公共団体である東京都がした処分は行政手続法3条3項により同法14条1項は適用されず。

行政手続法14条1項では、行政庁が不利益処分をする場合には、その名宛人に対して処分と同時に不利益処分の理由を示さなければならないと規定されている。

国税通則法の改正(平成23年12月)により、国税に関する不利益処分については理由の提示が必要とされた一方で(通則法74の14①)、地方税に関する不利益処分については各自治体に同様の対応を一律に義務付けるのではなく、理由の提示の有無は各自治体の判断に委ねられていた。

この点東京都では、東京都条例第12の2(東京都行政手続条例の適用除外)第1項において、東京都行政手続条例第14条1項(不利益処分の理由の提示)は適用しない旨が定められている。今回紹介する裁判事例で問題となったのは、東京都が納税者に対し行った第二次納税義務の納付通知処分等が行政手続法14条1項本文所定の理由の提示を欠くものとして違法であるか否かという点である。

納税者が受け取った第二次納税義務に関する通知書には、適用される規定が地方税法第11条の8と明記される一方で、納税者が第二次納税義務を負う原因となった具体的な事実関係たる課税理由が明記されていなかった。これに対し納税者は、適用条文を処分の書面に記載するだけで事実関係が具体的に記載されていない場合は理由の提示の程度は不十分であると指摘し、本件処分は行政手続法14条1項に反する違法なものであるなどと主張していた。

裁判所は、地方団体の都条例においても国税通則法と同様に、税条例に基づく処分について理由の提示を必要とする旨を定めることが望ましいとはいえても、これを不要とすることが地方税法に反するとはいえないと指摘。そして、東京都による第二次納税義務の通知処分等については、行政手続法3条3項(地方公共団体がする処分は同法14条等を適用しない旨を規定)にいう地方公共団体の機関がする処分で、その根拠となる規定が条例又は規則に置かれていることから行政手続法14条1項本文は適用されないと判断。本件処分が行政手続法14条1項に反し違法であるということはできないとしたうえで、納税者の請求を斥ける判決を下した。