• 国税庁、役員給与改正などを含む平成29年度税制改正に対応した法人税基本通達等を公表。
  • 功績倍率法により算定される退職給与は業績連動給与に該当しないことから、役員給与の損金不算入制度(法法34①)の規定の適用はないことを明確化。従前どおりの条件で損金算入可能に。

国税庁は7月14日、法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)(平成29年6月30日)を公表した。同通達は、役員給与改正などを含む平成29年度税制改正に対応して発遣されたものである。

具体的に主だったところをみると、平成29年度税制改正では、業績に連動する退職給与は「業績連動給与」の損金算入要件を満たさない限り損金不算入とされたが、いわゆる功績倍率法(役員の退職直前に支給した給与額にその役員の法人業務従事期間及び役員の職責に応じた倍率を乗ずる方法により支給額を算定する方法)に基づいて支給する退職給与についは、業績連動給与に該当しないことから法人税法34条1項の規定の適用はないとされた(法基通9-2-27の2)。つまり、功績倍率法による退職給与は従来通り損金算入(過大等の場合を除く)が認められるわけだ。

また、所定の時期に確定した額に相当する適格株式等の交付について、その交付数の算定の際に1株に満たない端数が生じた場合において、その端数に相当する金銭の交付を行わなかったときは、確定した額を支給する給与には該当しないことが明らかにされた(法基通9-2-15の3)。事前確定届出給与に該当するためには、その1株に満たない端数部分を現金で支給する必要があることになる。

さらに、法基通9-2-15の5では、法人がその役員に対する給与について、業績指標その他の条件により、そのすべてを支給するか又はすべてを支給しないかのいずれかとすることを定めた場合におけるその定めにしたがって支給する給与は、業績連動給与に該当せず、事前確定届出給与の対象とされた。これにより、“オールorナッシング型”の譲渡制限付株式報酬も事前確定届出給与として損金算入することができることが明らかにされた。

そのほか、業績連動給与の評価指標について、有価証券報告書に記載される“連結財務諸表”に記載されるべき金額等から算定される指標(連結利益や連結売上高など)が含まれるとされた(法基通9-2-17の3)。