- 厚労省、個人開設医療機関の事業承継円滑化のための税制上の特例措置を平成30年度税制改正で要望。
- 後継者が診療所(病院)を5年間継続運営すれば、「医療に必要な資産額」の相続税を猶予(免除)。
- 地域の医療機能の維持に必要と都道府県知事が認めた個人が開設する診療所(病院)が対象に。
厚生労働省は平成30年度税制改正要望のなかで、地域の医療を支える個人開設医療機関の事業承継の円滑化のための税制上の特例措置の創設を新たに要望する。
具体的には、医療機関を開設する個人に相続が発生した場合、その診療所(病院)を5年間継続して運営することを要件に、相続する資産額のうち「医療に必要な資産額(診療所(病院)のための土地、建物及び一定の医療機器等)」に相当する相続税の額を猶予等するというもの。医療に必要な資産額相当の相続税は納税猶予とし、次世代に医業承継すれば相続税が免除される。なお、医療に必要な資産以外の相続財産については、次の算式により相続税額が発生する。
(資産の評価額-医療に必要な資産の評価額※)×税率 ※医療に必要な資産について、負債があるときはその負債額を資産額より減ずる。 |
この特例措置は、個人が開設するすべての診療所(病院)が対象となるものではなく、地域の医療機能を維持するために必要と都道府県知事が認めた個人開設の診療所(病院)に限られる。
また、社会医療法人及び特定医療法人の認定要件の見直しも要望する。具体的には、「全収入金額に占める社会保険診療収入等の割合が80%を超えなければならない」という認定要件における社会保険診療収入等の対象に「介護保険法の保険給付」や「予防接種」などを加える。
医療分野以外では、実務家や企業の関心が高い交際費課税の特例(平成29年度末で期限切れ)について、大法人も適用対象となる「飲食のために支出する費用(社内接待費を除く)の50%損金算入特例」と「中小法人に係る交際費の損金算入特例(800万円限度)」の適用期限を平成31年度末まで2年延長することを要望する。
そのほか厚生労働省は、事業所内保育施設を設置する企業に対する割増償却措置(事業所内保育施設及び同時取得した設備などが対象)の創設とともに、くるみん認定・プラチナくるみん認定を受けた企業については償却率を加算等する措置を要望する。