- 電子申告義務化、資本金1億円以下の法人が適用対象外に。
- 資本金1億円超の法人は、国税・地方税とも平成32年4月1日以降開始する事業年度から適用開始。
- 財務諸表、勘定科目内訳明細書についてはエクセルベースのCSVでOK。PDFの紙原本保存も不要に。
システム対応など準備作業にも影響を与える適用開始時期は、国税・地方税とも「平成32年4月1日以降開始する事業年度」からとされた。政府の規制改革推進会議では「平成31年度」からとされていたが、企業の準備期間に配慮したものと言えよう。
また、電子申告義務化の対象を「資本金1億円超」の法人とした点も注目される。つまり、資本金1億円以下の法人であれば、今回は国税・地方税ともに電子申告は義務化されない。
また、連結納税を採用している場合、連結親法人の資本金が1億円超か否かで適用の有無を判定する。連結子法人は資本金が1億円超であるか否かを問わず、個別帰属額届出書は親法人が提出する。
電子申告義務化の対象となる書類の範囲とデータ形式も企業への配慮がにじむ。第三者作成書類のうち、分量が多く、提出の必要性も疑問視されていた土地収用証明書等は添付を省略し、保存要件化する。また、電子申告義務化に伴い、勘定科目内訳明細書の記載内容が簡素化(量的・質的)される。データ形式については、財務諸表、勘定科目内訳明細書についてはエクセルベースのCSVが認められることになった。すなわち、企業は既存データを流用できる。送信するイメージデータ(PDF)については、紙原本保存が不要とされた。これまではイメージデータで資料を提出しても、税務調査で改めて「紙で見せよ」と要求されれば応じざるを得なかっただけに、企業にとっては朗報と言えよう。ただし、「解像度要件」は設けられる。
このほか、経理責任者の自署押印制度が廃止される(電子に限らず、紙の場合も同様)。電子署名については、「法人の代表者から委任を受けた当該法人の役員・社員による電子署名」も可とする。また、サイバー攻撃、災害、経営の破綻等によりインターネットが利用できず電子申告できない場合には書面申告を可能とする宥恕規定も設けられる。なお、宥恕規定にない理由で電子申告できない場合は「無申告」となる。
このほか、「国・地方を通じた財務諸表の提出先の一元化」や複数の自治体への地方税の納税が一度の手続きで可能となる「共同収納」(ワンスオンリー原則)も実施される。