• 外国法人の法人税申告書の様式が変更。平成28年4月1日以後開始事業年度分の法人税の申告から、従前の「別表一(一)」ではなく、「別表一の三」の様式を使用して申告書を作成することが必要に。
  • 外国法人には12月期決算の法人が多いなか、申告書作成にあたり従前の「別表一(一)」の様式での提出は誤りとなるので要注意!

外国法人に対する課税について平成26年度税制改正では、従来の総合主義から帰属主義への移行が図られている。具体的には、外国法人が日本国内に有する恒久的施設(PE)に帰属すべき所得(PE帰属所得)が国内源泉所得の一つとして位置づけられることになった(法法138①一)。

PE帰属所得とは、外国法人がPEを通じて事業を行う場合にPEが本店等(本店、支店、工場その他これらに準ずるものでそのPE以外のものを指す)から分離・独立した企業であるとした場合に得られるべき所得のことをいう。このPE帰属所得の算定においては、PEと本店等との間の内部取引について、(移転価格税制と同様に)独立企業間価格による取引が行われたものと擬制して、内部取引損益を認識することとされている。

この改正は平成28年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用されているが、外国法人が法人税の申告を行う際には「別表一の三」の様式を使用する必要がある。ただ、外国法人のなかには、本来使用すべき「別表一の三」ではなく、従前の「別表一(一)」を使用して申告するという誤りが多く見受けられるようだ。

外国法人には12月期決算の法人が多いなか、平成29年12月期に係る法人税申告の際には、「別表一(一)」ではなく、「別表一の三」を使用する点に注意が必要だ。

なお、「別表一の三」には、「恒久的施設の有無及びその種類(支店・建設作業場等・代理人)」欄が新設されている。恒久的施設の「有」または「無」のどちらかに○を“必ず”記載し、恒久的施設が「有」の場合は「支店」「建設作業場等」「代理人」のいずれかに○を“必ず”記載する必要がある。

また、所得金額については、「恒久的施設帰属所得」と「その他の国内源泉所得」に分けて、「恒久的施設帰属所得に係る所得の金額に係る法人税額」を「別表一の三」の左側の欄1から11に、「その他の国内源泉所得に係る所得の金額に係る法人税額」を右側の欄12から22でそれぞれ計算する必要がある点にも留意が必要だ。